2017/12/11

なぜ!?『ホーホケキョ となりの山田くん』は面白すぎるエピソードを削って作った!


残念ながらジブリ作品の中でも屈指の不人気を誇る『ホーホケキョ となりの山田くん』。
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しかし作品を観た方の多くは絶賛しており、決して作品としての出来が良くないわけではなく、興行収入は作品のクオリティと全くイコールではないことががうかがい知れる一品です。

この作品、観た方は感じたと思うのですが、非常にほのぼのとしたコメディで、大きく笑えるというものではありません。そこには、この作品のある秘密がありました。今回は、書籍『ジブリの教科書11 ホーホケキョ となりの山田くん』に収録されている鈴木敏夫プロデューサーの語り下ろし「四コマ漫画から生まれた五時間超のシナリオ」より、ちょっとビックリしてしまう高畑監督の作品作りをご紹介します。

以下、その引用です。
 高畑さんはまず原作からおもしろいエピソードを抜き出す作業に取りかかりました。かなり時間はかかりましたけれど、それを元に最初のシナリオができました。僕としては、九十分から長くても二時間ぐらいを想定していたんですが、出てきたのは、実に五時間超の大長編。四コマ漫画からそれだけのシナリオを作り出しちゃうわけだから、つくづく高畑さんって、人を驚かせる天才です。
 そこから短くする作業に移ったんですが、その途中、高畑さんが面白いことを言い出したんです。

「面白すぎるエピソードは外しましょう」
最初は意図がわかりませんでした。シナリオを削る作業は、ただでさえ辛い作業です。できればいちばんおもしろい部分を残したい。でも、高畑さんは抱腹絶倒のエピソードから削っていくんです。
 最終的なシナリオができて、通しで読んでみたとき、高畑さんの言っていた意味がよくわかりました。あるエピソードで腹を抱えて笑っちゃったらお客さんは次のシーンに入っていけないんですね。漫画だったら、十分笑ってからページをめくればいいけれど、映画の場合は待ってくれません。だから、あえてクスッと笑う程度に抑えて、次のエピソードに移るーーそれが高畑さんの意図だったのです。

理屈を聞けば「なるほど」と思う一方、にしても、面白いエピソードを外してしまうというのはかなり勇気がいることなのではないか?と感じてしまうのですが、これが作品のテンポを崩さずにお客さんが観ていられる秘密なのですから、高畑監督の手腕には驚きです。

もし私が監督だったら出来ません(笑)どうしてもお客さんには笑って欲しい、だったら笑えるエピソードは絶対残しておきたいはずです。そこをあえて削った『となりの山田くん』、まだ観ていない方は「面白すぎるエピソードを外した」結果をどのように感じるか、試しにご覧になってみてはいかがでしょうか?

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