2016-10-12

「押井さんは意味ありげに語る」 宮崎駿監督の押井守監督評


スタイリッシュで美しい映像表現と、やや難解と言えるストーリーが特徴の押井守監督。
アニメーション作家・映画監督。東京生まれ。テレビアニメ「一発貫太くん」でアニメ演出家としてのスタートを切る。「うる星やつら オンリー・ユー」でアニメ映画の監督デビュー。「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」で国内外から高い評価を得る。他に「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」「機動警察パトレイバー2 the Movie」「イノセンス」など。

宮崎監督とは古くからの友人です。そんな押井監督を宮崎監督がどのように評価しているのか?気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?今回は、書籍『風の帰る場所 ナウシカから千尋までの軌跡』より、宮崎監督が押井守監督のことを語っている部分を抜粋してご紹介します。


以下、『風の帰る場所』より
ーー『攻殻機動隊』も観ていらっしゃらないんですか?


宮崎「観てないです」


ーー押井守さんから、宮崎さんについては、いろいろ面白いコメントをいただいてるんですけど、宮崎さんからはどうなんですか?


「いや、なにを犬に狂ってるんだ、バカってね(笑)」


ーー(笑)よく知ってますね。


「知ってますよ。人の犬に悪口言ってきてね、それで、喧嘩したんですから(笑)。汁かけ飯がなぜ悪いってね。僕は汁かけ飯で犬飼ってたんですよ。それで十七年生きましたからね。(中略)押井さんに言ったんですけどね、『そんなに犬が好きなら、愛犬物語作れって。くだらないもの作ってないでね。人間の脳みそが、電脳がどうのこうのなんて、そんなんじゃなくてね』


ーー観てるじゃないですか(笑)。


「いや、観てないんですけど。わかるんですよ。士郎正宗の『攻殻機動隊』は読みました。これ全部入らないから、どうせ適当に意味ありげに語るんだろうって。意味ありげに語らせたら、あんなに上手な男いないですからね(笑)。『機動警察パトレイバー2 the Movie』のときなんか、まいりましたもん。なんか意味ありげだと思っていたら、『しょせん意味などないんだ』ってね(笑)。おかしいなあと思うと、先回りして言うんですよね実に語り口は巧妙なんですけど、要するに押井さんが言ってるのは、東京はもういいやってことなんだろう、だから、伊豆に行って犬飼うんだろうって。自分が短足だからって、短足の犬飼うなってね。そのバカ犬がさ、家の中にウンコとかおしっことかしてると聞くと嬉しくてね」


ーーしかし、押井守の宮崎駿評と宮崎駿の押井守評ほど面白いものはないですね。


「いや、基本的に友人ですからね。だから、元気に仕事やっててほしいんですけどね。(後略)」


意外(?)にも、宮崎監督、士郎正宗さんの原作コミック『攻殻機動隊』は読んでおりました。しかし、押井監督版の映画は観ていない、と。…本当でしょうか?そう言いつつ、本当は観ている気がします(笑)

押井監督を評して「意味ありげに語らせたら、あんなに上手な男いない」とは、宮崎監督、さすが鋭いなかなか辛辣ですね(笑)確かに押井監督は難解なセリフを多用し、それは時として私たち観客を煙に巻くような印象を与えます。しかし注意深く聞いていれば非常に重要な、示唆に富んだセリフも言っているので、私たちが同意すべきかどうかは難しいところです(笑)その衒学的な表現が好きだという方もいらっしゃるでしょうし、実際私自身も好きです。

名作が非常に多い押井監督、これからも名作を作り続けて欲しいところです。


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