2018-08-03

吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』とジブリ新作に直接の関連はない(追記あり)


吉野源三郎の『君たちはどう生きるか』、売れていますね。これはハッキリ言ってしまえば、宮崎監督の新作のタイトルが『君たちはどう生きるか』だったからであると思うのですが、では、吉野源三郎さんの作品が原作なのかと言うと、どうでもそうではないようです。

以下、書籍『ジブリの教科書18 風立ちぬ』 より、鈴木敏夫プロデューサーの言葉です。

 吉野源三郎さんの『君たちはどう生きるか』が、いまあらためて読まれているのは、 そういう現代社会への反動でしょう。映画の内容と、吉野さんの本との間に直接的な関係はないんですが、宮さんがそのタイトルを持ってきたとき、僕は感心したんです。タイトルを見た関係者の中には「古くさい」と言う人もいました。でも、僕は逆に「この人はまったく古びてない」と思った。世の中が閉塞感に覆われて、これ以上どこにも行けない雰囲気が充満する中、このテーマにはぜったい多くの人が興味を持つはずです。
まだ詳しい内容は言えませんが、絵コンテを見るかぎり、宮崎駿は健在。まるで永遠の少年のようです。現場で活き活きと働く宮さんを見ていると、『風立ちぬ』というリアリズム作品じゃ終われなかったんだなと、つくづく感じます。やっぱり宮崎駿の真骨頂はファンタジーにある。

「映画の内容と、吉野さんの本との間に直接的な関係はない」とハッキリ言ってしまっていますので、それ目当てで本を読んでしまった方にとっては残念なお話ですが、名著を読む機会があったのですし、全く無駄ではないかもしれませんね。

追記:『君たちはどう生きるか』が公開されました。結果としてはやはり直接の原作ではありませんでしたが、主人公の眞人と彼の母を繋ぐ作品として登場していましたので、この作品を読むことは全く無駄にはならないものでした。





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