2018/07/29

宮崎監督の語るトトロ2の可能性「トトロは愛想を振りまきすぎた」「ぼく自身がもう変わっている」


今や色々な所で目にするトトロですが、これだけ大人気のキャラクターになると、どうしても気になってしまうのが『続編』の話。ジブリ美術館では『めいとこねこバス』というある意味で続編的な短編作品が期間限定で上映されていますが、それとは別に、全国的な映画館で上映される本当の続編の可能性はあるのでしょうか?書籍『トトロの生まれたところ』より、宮崎監督の言葉をご紹介します。

宮崎 とても大事なことは、トトロというのは、馬鹿か利口かと言ったら、ものすごく大きな馬鹿だということ。何を考えているのか? あるいは本当に考えているのか? 何も考えていないんじゃないか? というね、そういうキャラクターを作らなきゃいけないと思ったんです。すぐ愛想を振りまいたり、目をキョロキョロさせたりする、そういうキャラクターではないって。

ーーあまり意思を感じさせないような、ホワッとしたものですか?

宮崎 意思という言葉すらふさわしくないんですよ。大愚(たいぐ)というのはーー日本人は好きだと、司馬遼太郎 さんが書いていましたね。本当にただ賢いというのは、石田三成みたいに尊敬されないって(笑)。西郷さん(西郷隆盛) みたいな、ものすごく頭もいいくせに、いるだけで西郷どんがいるという存在ならばいいけど。

(中略)

ーー初期に描かれたイメージボードの世界が、やはり本来のイメージに近いですか? ネコバスのなかに妖怪のような生きものもいますね。

宮崎 それは妖怪というか――得体の知れないものっていっぱいいるだろうと思うんです。それからあんまりものを考えているように顔を描いちゃいけないんですよ。そこはけっこう神経を使っているのですが、だんだんと雑念が押し寄せてきて、キャラクターグッズを作って、売れば売るほど雑念が...。こっちが意識しないやつにもまとわりついて、いつの間にか違うものになっちゃいますね。だから今、美術館の短編作品(『めいとこねこバス』)は作りましたけど、『となりのトトロ』の2番目の作品を作るとなっ たら、本当に難しいと思う。

ーートトロがキャラクターとして一人歩きしているような感じですか。

宮崎 愛想を振りまきすぎたんではないですかね。それに、ぼく自身がもう変わっているから、もっと別なものを作らなきゃいけないときが来ているはず。こういう風景を描くことはできないんじゃないかな。だからまあ、この1作でいいのです。

トトロに関する非常に興味深い特徴「何を考えているのかわからない」「ものを考えているように顔を描いちゃいけない」という話から、宮崎監督自身がそうは描けなくなってきてしまったという変化ゆえに、トトロ2は難しい、という話になりました。

ちなみに宮崎監督はポニョの頃に行った講演でもこのように仰っています。

「自然界のモノってのはもっと奥深くて、人間の判断を超えてるものを持っていると思うので、『トトロを描く時にどこを見てるかわからないように描け』っていう風にスタッフに言いました。」

「トトロは、これはホントにスタッフに言いましたけど、利口なのか馬鹿なのか分からない、何かものすごく考えてるかもしれないけれど、何も考えてないかもしれない。そういう風に説明していました。」

トトロは人智を超えたものとしての存在であることがとても重要なようです。

そして、トトロ2はどうやら作られることはないとのこと、トトロをもう一度!と望む方にとっては残念なお話でしたが、代わりに別の作品を見ることができる、と考えれば、あながち悪い話ではないのかもしれませんね。




【こちらも併せてどうぞ】
トトロを生み出した所沢の草木、花の水彩画が豊富な書籍『トトロの生まれたところ』

宮崎駿「トトロが美術的なピーク」

「ネコバスは出さない!」トトロの制作中、文芸作品をやりたくなった宮崎さん



0 件のコメント:

コメントを投稿

◆関連コンテンツ