2018/05/04

宮崎駿「トトロが美術的なピーク」


タイトルにあります通り、宮崎監督は「トトロが美術的なピーク」とおっしゃっています。どういうことなのでしょうか?書籍『続・風の帰る場所』よりご紹介したいと思います。

 宮崎「僕は結果的に『トトロ』っていう作品が、 峰になっちゃってるんですよ。あれがピークだったんです。美術的なピーク。それは自然というか日本の風土をね、関東地方ですけども、それを愛情持って描こうとしたんですよ。どういう木が生えてるかとか、どういう風景があるかっていうのを、理想化して描こうっていうことを初めてやって、それが初めてうまくいったんです。でも、そうなるとそのあとに続く絵は、マニエリスムになるんですよ」

ーーうん、うん。

宮崎「描き込む方向もありますけど、結局つまらなくなっていくんですよ、描き込むことによってね。そうすると、『トトロ」はどうだったっけって戻らなきゃいけない。でもそのマニエリスムもね、ようやく力尽きて、遂に、職場にそのマニエリスムの影響すら何も残ってないという」

 ーーははははは。

宮崎「それで『ジブリはずーっと続くんですか?』とかね、くだらないことを訊きやがるんです。 『続くはずねえだろう!』って。なんですかねえ? かくも人民が愚かになったのかと思うぐらいですよ。いや、スタッフは個人的にはみんな好きなんですけど(笑)、描いてる絵を見ると、なんでこんなに下手くそになったんだろうって思うんですね。なぜと言ったら、理想がないからですよ。自分がこういう世界がいいなと思う気分がどっかなくなってるんです よ。どうせこんなもんだっていう感じなんですね。」

監督の言っている「マニエリスム」とは「極度に技巧的・作為的な傾向をもち,時に不自然なまでの誇張や非現実性に至る美術様式。」のことだそうです。(あるいは、監督は「マンネリ」という意味でマニエリスムという言葉を使用しているのかもしれません)いずれにせよ、監督にとってはトトロでひとつ到達点を迎えてしまったようです。私たちにとっては、トトロ以降も素晴らしい美術をたくさん見られていると思うのですが、監督の中では「作品の美術に宿っている哲学」が問題なのであって、パット見の美しさが問題ではないようです。

そして後半は監督お得意の(笑)辛辣な批判が始まります。ジブリはずっと続くはずがない!悲しい!スタッフが下手くそ!厳しい!(笑)

続・風の帰る場所―映画監督・宮崎駿はいかに始まり、いかに幕を引いたのか
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