2018-02-17

「ネコバスは出さない!」トトロの制作中、文芸作品をやりたくなった宮崎さん


天才は奇人変人が多いと言われますが、宮崎駿さんも例に漏れず天才ゆえの謎思想が飛び出ることもあるようです。今回は、書籍『仕事道楽 新版 スタジオジブリの現場』より、宮崎監督の突飛な思いつきをご紹介します。

以下、その部分引用です。
 あと、こんな話もありました。いろいろな経緯があって、『トトロ』は 「高畑さんの『火垂るの墓』(以下『火垂る』)とあわせて二本立て興行になった。ジブリにとって大冒険もいいところだったんですが、それはともかく、宮さんは高畑さんが文芸作品を作るということを気にしだした。真剣な顔をしてこう言うんです。
「鈴木さん、『火垂る』は文芸だよね」
「まあ、そうですね」 「おれも文芸をやる」(!) 
「えっ、どうすんですか?」
「ネコのバスなんて出してられないですよ、あんなもん出したら文芸作品じゃない」  
 もうびっくりです。ネコバスだけじゃなく、コマに乗って空を飛ぶっていうシーンもやめるという。「コマで飛ぶなんて、ばかなことやってられないですよ」。これ、ほんとに困ってしまいました。ぼくは「ネコバス」は大好きだったし、あれを出さないでどうやってやるつもりか、心配になった。で、『火垂る』を作っていた高畑さんに話してみた。
「高畑さん、困りましたよ」
「どうしたんですか」
「高畑さんも『トトロ』の企画を知っていますよね」
「ああ、あれですよね」
「いまのネコバスとかコマを出さないといっているんですよ」
「もったいないじゃないですか」 
「そうですよね。あ、もったいない、そうそう、それはいいですね」 
 それで、宮さんのところへ行って、「宮さん、ネコバスとコマなんですけどもね」「なんだ?」「高畑さんがもったいないと言っていましたよ」。 「宮さんは高畑さんの一言に弱いんです。「じゃ、出す」ということになって、一件落着したんです。

宮崎さんは本当に高畑さんを意識しているんですね(笑)彼が文芸をやると行ったら自分も…というわけです。しかし、そのための代償はネコバスやコマに乗るトトロですか…もったいなさすぎます!高畑さんが賛成していたら、本当に登場を止めてしまっていたのでしょうか!?

 なくすなんてもったいない!


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