2014-07-10

『となりのトトロ』豆知識:ミミンズクは本名ではない!年齢は1302才ではない!初期の設定ではサツキはいなかった!


『となりのトトロ』は、1970年代に絵本にするためにイメージボードが描かれ、その後映画化まで温められてきた作品なのだそうです。しかし、もちろん当時から映画版の設定がハッキリ固まっていたわけではないようで、当時のイメージボードを見ると映画版の設定とは異なっている部分がいくつか存在します。

今回は、映画化が決定する前、絵本用として構想されていた段階のトトロのイメージボードを一部抜粋し、そこから分かることをご紹介します。


サツキでもメイでもない女の子!?


まずはこの絵。メイとトトロが一緒にいて、カエルと歌っています。


ほのぼのとした良い絵ですね。と、言いたいところですが、実はこの女の子、どうもあの“メイ”ではないようです。

別の絵での女の子。名前は「メイ(五月)」と書いてあるのですが、
どうも映画版のメイよりも年上に見えます。

五月は“さつき”とも読めるし、英語では“May”
そう、当初サツキとメイは一人の存在だったのです。

ちなみに書籍『THE ART OF TOTORO』にある同じ絵では、
「サツキ」という名前が書き加えられています。

こちらは映画版のポスターの基になったと思われる絵。
これが一番最初に描かれた絵なのだそうです。

参考までに、こちらが映画版のポスター。
作品が既に完成した後に描かれたものであるにも関わらず、
ここでもまだサツキとメイはいません。


ポスターの女の子がサツキでもメイでもないのは、以下のような理由だそうです。書籍『ジブリの教科書3 となりのトトロ』収録の鈴木敏夫プロデューサーの制作秘話「二本立て制作から生まれた奇跡」より。
 宮さんという人は、高畑さんに対する思いが、愛したり憎んだりの二律背反なんです。やり始めてからもいろんなことがありましたけれど、一番困ったのは、60分ずつのはずの作品が60分ずつじゃなくなったこと。最初にそのルールを破るのは、当然、高畑さん(笑)。88分になる。時間のことはちゃんと言ってあったのに、高畑さんにとっては関係ないんです。そしたら宮さんだって気になるじゃないですか。「高畑さんはどのくらいになりそうなの?」と聞いてくるんです。「ちょっと長くなりそうですね」。「60分じゃないでしょ」。「そうですね、80分くらいですかね」。
 このことが『となりのトトロ』に大きな影響を与えることになりました。『となりのトトロ』は本来、女の子とオバケの交流で、その女の子は一人だったんですが、高畑さんへの対抗心に燃えた宮さんは「映画を長くするいい方法はないかな」と言い出して、それで一人の女の子を姉妹にすることを自ら思いつくんです。サツキとメイは、宮崎駿の負けず嫌いの性格から誕生したのです。

 いよいよ映画を作って、ポスターを描かなければいけないとなりました。もともとバス停でトトロを女の子が立っている絵があったんですけど、その時は姉妹でなくて一人だったので、宮さんも今度はトトロの隣にサツキとメイの二人を立たせようとしたんです。でも、うまくいかない。それで、女の子は、メイとサツキの合体になりました。あのポスターの絵をよく見ていただくとわかるんですけど、ヘアスタイル、背の高さ、着ている洋服は、サツキとメイを合わせたもの。メイちゃんでもないしサツキでもない。宮さん、そういうセンスは、ほんとうに面白いです。

※ただし、『となりのトトロ・絵コンテ集』の宮崎駿インタビューによると(『THE ART OF TOTORO』より)、宮崎監督は映画化の話がある前から、雨の日にバス停で父を待っている時にトトロと出会う女の子の絵と、日中に陽なたの草むらで中・小トトロと出会う女の子の絵を描いており、「二人の女の子が存在してしまった」と思っていたそうなので、『火垂るの墓』の件の前から、頭の片隅には「二人の女の子」がいたのかもしれません。


日中に中・小トトロと出会う女の子の絵



トトロは何才?本名はミミンズクじゃない!


次は三匹(?)のトトロたち。

気になるのは、中トトロが「トトロ」となっていて、一番小さい小トトロは「ミン」になっている所。大トトロの年齢は、映画化の際に宮崎監督はインタビュー内において「3000年生きている」と設定しましたが、この段階では「おおトト」(1300才)となっています。

※大トトロが3000年生きているという設定は、書籍『ロマンアルバム となりのトトロ』に収録されています。

こちらは大トトロが「おおとうさん ミミンズク」と
名付けられているバージョン。


ここでの年齢は1302歳と、2歳違っています。中トトロは「とうさん ズク」679才。見づらいですが、小トトロは「ミン」109才とあります。お父さんとメイ(?)、ススワタリ、カンタの原型もいます。

ここでは女の子のお父さんの年齢は30才と書かれていますが、ではこれが公式設定なのか言えばそうではなく、実は別の箇所では32才となっています。よって本当の所は定かではないのです。また劇場パンフレットの宮崎監督の言葉によると、トトロも「本当の名前は誰も知りません」ということですので、ミミンズクが本当の名前というわけでもありません。

このように、トトロは年齢も名前もイメージボードの段階ではハッキリと決まっていたわけではありませんので、当時の設定が固まっていない段階での資料から判断して年齢を「1302才」と捉えることや「本名はミミンズク」と考えることは大きな誤りです。

(実は徳間書店から出版されたアニメ絵本『となりのトトロ』でも大トトロの年齢を1302才と書いてしまっているのですが、作者である宮崎監督が「3000年生きている」と設定している以上、大トトロの年齢は大体3000才、本名は誰も知らない、が正解であるはずです)

最後に気になるのが、このメイの頭にいる小さな何か。

この小さな生きもの、映画版には登場しませんでした。
コダマのような存在だったのでしょうか?






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