2018/05/22

『思い出のマーニー』の美術監督、種田陽平さんが語るジブリスタッフの持つ「少女性」


実写映画を中心に、国内外問わず様々な分野で活躍をされている美術監督、種田陽平さん。その実績は本当に数知れないものですが、ジブリ作品の『思い出のマーニー』でも美術監督をされています。そんな種田さんが著書『ジブリの世界を創る』で、ジブリのスタッフについて非常に興味深い意見を述べておりましたので、ご紹介します。

以下、その部分引用です。
スタジオジブリのアニメーション世界には「少女性」があります。その「少女性」が世界中の観客を魅了することにつながっているのではないかと思います。そして、ジブリのスタッフも確固とした「少女性」を身の内に持っている。
 吉田昇さんというベテランの美術監督が、『思い出のマーニー』にもメインの美術スタッフの一人として参加してくれたことは先に話しましたが、その吉田さんと同じチー ムで仕事してくれた平原さやかさんという方も、ジブリで長年仕事している背景のベテランです。あるとき、その平原さんが描いた背景を見て、ぼくはやけに小物が多いなと感じました。ストーリーには特別な関係もない背景の一部である小物です。それらはかなり克明に描かれていて、どれも何となくかわいらしいのです。
 その絵を米林監督に見せながら、ぼくは明暗などの全体的な話をするつもりでした。 ところがその絵を見た監督は開口一番「この棚の上の小物、かわいいですね~!」と言ったんです。それを聞いた平原さんも、目をキラキラさせて小さくガッツポーズ。ぼくはこの二人の世界には入っていけないなあと感じました(笑)。
 物語を語る上で必要な小物ではなくとも、ジブリの世界ではその小物が重要なディテールになっています。改めて見ると、「魔女の宅急便』や『となりのトトロ』でも、そうした遊び心を持った美術が映画のなかで大きな役割を果たしていることに気づきます。
 もちろん実写でも、ストーリーと関係しないところで装飾や小道具に凝ったりします。しかし、実写の監督がそれに気づくことはあまりありません。実写の場合、背景の小物が画面のなかで大きな役割を果たすことは少ないからです。また、実写の背景は撮影でピントを合わせなければボケますが、アニメの背景は描いたものがほぼそのまま映るため、観客が気づきやすいということもあるのかもしれません。
 重要度が低いと思われる部分まで、気持ちを込めて作られていることにこのときは驚きました。平原さんの仕掛けたことを、米林監督はキャッチした。「かわいい」と小物を愛でる「少女性」、それがジブリの歴史であり積み重ねなのかもしれないと思いました。

ジブリ作品は小物が多く、その小物が重要なディテールになっている。これはアニメーション以外の美術を多数担当されている種田さんならではの視点かもしれませんね。特に実写の背景に比べてアニメの背景はピントがボケないために気づきやすいという視点は、非常に面白いと思います。小物が重要なディテールになっているといえば、「ジブリ飯」と言われる美味しそうな食事も、ディテールに凝った作品作りの賜物な気がしますし。

それにしても、米林監督と平原さんのやりとり、とても微笑ましいです。「かわいい」を大切にするジブリの精神、いつまでも続いてほしいと思います。



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