圧倒的な美しさを誇る作品を生み出すロシアのアニメーション作家、アレクサンドル・ペトロフを紹介したいと思います。彼については、一度ロシアのアニメーションを紹介した【こちらの投稿】でも少しだけ触れたのですが、より多くの作品とともに、彼の作品の美しさの秘密を、もう少し掘り下げてご紹介。
まずはこの2つの動画から。どちらもDVD化されている作品です。まさに油絵が動く、見とれるほどの美しさ!
▼「春のめざめ」紹介動画
Alexandre Petrov - "My Love" (Excerpt) from TONIC DNA on Vimeo.
▼「老人と海」紹介動画(オスカー受賞作)
Alexandre Petrov- The Old Man and the Sea (Excerpt) from TONIC DNA on Vimeo.
■アレクサンドル・ペトロフについて
1957年7月17日、ロシア、プリスタチャ生まれ。
ユーリー・ノルシュテインに師事した後、「雌牛」(89)を発表。90年オスカー賞ノミネート、第3回広島国際アニメーションフェスティバルグランプリのほか、パルナブルガリア、オタワアニメーションフェスティバル、ベルリン映画祭で受賞するなど、国際的な評価を得る。
続く「おかしな人間の夢」(92)では、オタワ、タンペレ、エスピノ、ビラコンデ、広島など、世界各地のアニメーションフェスティバルで数々の賞を受賞。
「マーメイド」(97)は、98年のオスカー賞2回目のノミネート。
さらに、日本、カナダ、ロシアの国際共同製作となったIMAX作品「老人と海」(99)で、2000年の短編アニメーション部門でオスカー賞を初受賞する。
ユーリー・ノルシュテインに師事した後、「雌牛」(89)を発表。90年オスカー賞ノミネート、第3回広島国際アニメーションフェスティバルグランプリのほか、パルナブルガリア、オタワアニメーションフェスティバル、ベルリン映画祭で受賞するなど、国際的な評価を得る。
続く「おかしな人間の夢」(92)では、オタワ、タンペレ、エスピノ、ビラコンデ、広島など、世界各地のアニメーションフェスティバルで数々の賞を受賞。
「マーメイド」(97)は、98年のオスカー賞2回目のノミネート。
さらに、日本、カナダ、ロシアの国際共同製作となったIMAX作品「老人と海」(99)で、2000年の短編アニメーション部門でオスカー賞を初受賞する。
▼その美しさの秘密、ペトロフのアニメーション技法
アレクサンドル・ペトロフ監督は、ガラス面に絵の具で直接描き、部分的に消しては描き変えてゆくという「ガラス絵手法」を取っています。
ペトロフ監督が絵を描くのは、撮影台に置かれ、下から白いフィルターを通した光を当てて白いキャンバスのようになったガラス板です。そこへ監督は指を使って絵を描きます。筆や布も使うときもありますが、基本的に指先でガラスをなでるようにキャラクターや風景を描いていくのです。油絵の具は他の素材に比べて絵の具の乾きが遅く、一度描いた描写も絵の具を拭えば消し去ることも描き直すこともできます。この特性を生かし、ペトロフ監督は絵に変化を生じさせ、動きを生み出すのです。
ペトロフ監督が絵を描くのは、撮影台に置かれ、下から白いフィルターを通した光を当てて白いキャンバスのようになったガラス板です。そこへ監督は指を使って絵を描きます。筆や布も使うときもありますが、基本的に指先でガラスをなでるようにキャラクターや風景を描いていくのです。油絵の具は他の素材に比べて絵の具の乾きが遅く、一度描いた描写も絵の具を拭えば消し去ることも描き直すこともできます。この特性を生かし、ペトロフ監督は絵に変化を生じさせ、動きを生み出すのです。
キャラクターが横を向く動きを作るとしましょう。最初の正面向きの絵ができたら、撮影台に備え付けたカメラで撮影します。この画像が1枚目の絵となります。次に、絵の中で動かしたい顔や首筋などの絵の具を拭い、少し顔を斜めに向けた形に描き変えて撮影します。これで2枚目の絵ができました。次もまた動かしたい部分を描き変えて撮影。この繰り返しによって、何枚もの少しずつ形の異なる絵が描かれたことになります。こうして撮った画像を映写すると、顔を横にと向ける動きになるのです。
動く部分だけの描き変えと言うと省力化された印象がありますが、動きが滑らかなのはもちろん、振り向くしぐさ一つでも、髪の毛の揺れといった細かなところまで動かしています。つまり、絵の変化が非常に緻密に施されているわけです。しかも、単純にデフォルメされた絵ならまだしも、あのリアルで複雑な描写でそれをやるのですから、多大な労力と長い時間が費やされたことが想像できます。
この作法は、画家としての腕前はもちろん、動きや演技に対するセンス、そして並外れた忍耐力を持っていなければ務まりません。
動く部分だけの描き変えと言うと省力化された印象がありますが、動きが滑らかなのはもちろん、振り向くしぐさ一つでも、髪の毛の揺れといった細かなところまで動かしています。つまり、絵の変化が非常に緻密に施されているわけです。しかも、単純にデフォルメされた絵ならまだしも、あのリアルで複雑な描写でそれをやるのですから、多大な労力と長い時間が費やされたことが想像できます。
この作法は、画家としての腕前はもちろん、動きや演技に対するセンス、そして並外れた忍耐力を持っていなければ務まりません。
▼ペトロフが手がけたCM作品
Alexandre Petrov - Schwarzkopf Henkel from TONIC DNA on Vimeo.
Alexandre Petrov - United Airlines - "The Night" from TONIC DNA on Vimeo.
Alexandre Petrov - United Airlines "The Rose" from TONIC DNA on Vimeo.
Alexandre Petrov - "Russian Railways" from TONIC DNA on Vimeo.
Alexandre Petrov - "Coca Cola's Sundblom Santa spot" from TONIC DNA on Vimeo.
どれも見とれるほど美しいですね。大好きなアニメーション作家です。
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