2014/04/11

『千と千尋の神隠し』 当初の構想では○○と戦って終わるはずだった!


『千と千尋の神隠し』の物語は、中盤にカオナシが暴走し、収束した後半、海を走る電車(海原電鉄)へ乗るシーンから雰囲気が一変します。

そこがまた作品の魅力なのですが、当初の構想では、中盤以降の展開は全然違うものだったそうです。

この話は、どこかのテレビ番組で鈴木プロデューサーが言っていた記憶がありますし、ロマンアルバムにも書いてある事実なのですが、書籍『千と千尋の神隠し 千尋の大冒険』に収録されているインタビューが一番詳細でしたので、こちらから引用します。

※宮崎駿監督は、絵コンテを描きながらストーリーを考える人だそうなので、それを前提としてお読みください。

以下の引用は、「当初、物語は湯婆婆を倒して終わりになる予定だったが、監督が『それじゃつまらないよね』と変更を提案してきた」という話からの続きとなっています。
インタビュアー(叶精二氏)「―― では、後半の銭婆の話などは後から考えたと。」

鈴木「銭婆は最初から出そうと思っていたようですが、宮さんが最初に喋っていた内容はまるで違っていました。去年のゴールデンウィークの頃、ぼくと作画監督の安藤(雅司)君と、美術の武重(洋二)さんと宮さんの4人で話し合いをやったんです。その時の構想では、湯婆婆をやっつけた後、背後に彼女のお姉さんの銭婆という、すごいヤツがいたことが分かる。こいつをやっつけなきゃ明日は来ないと。それを巡ってのアクション映画にしようと言っていました。」

インタビュアー「―― 全く違う映画になりますね、それは。」

鈴木「それで、宮さんが『どう思うか』と聞くと、まず安藤くんが反対したんです。『話は面白いかもしれないけれど、あと一年という作業時間の中では出来ない』と。武重さんは『うーん』と悩んでいて、『鈴木さんはどうだ?』と聞かれたので『僕は大賛成だ』と。それで、安藤君に睨まれるんですけどね(笑)。僕としては『宮さんの構想は非常に面白い。ただ、その内容を実現するには3時間は必要。アニメーション映画はせいぜい2時間ちょっとだとみんな思っている訳だから、3時間の大作を作るのも面白いんじゃないか』と。僕が『3時間、3時間』って言うと、宮さんの顔が変わり始めたんです。挙句の果てに僕が、『安藤くんも今こうやって深刻な顔をしているのは、果たしてあと一年で出来るかという問題だろうから、それなら製作期間をもう一年伸ばしませんか』と提案したんです。」

インタビュアー「―― また無茶をおっしゃいますねぇ。」

鈴木「真剣でした。そういう映画を見たかったし。そうしたら、宮さんが怒っちゃった。『いい加減にしろ。鈴木さん!』って(笑)。『そんなのいやだ!僕は一年で作りたいんだ!』と(笑)。それで、短い・長いという話になっちゃって、4人とも黙りこくっちゃったんです。非常に夢も希望もない話で申し訳ないですけど、要するに映画の長さの話は重要なんですよ。
 その深刻な事態を打開したのも宮さんで、いきなり『じゃあ、カオナシの話にしよう』と言い出したんです。『湯婆婆と銭婆の話はナシ』と。それで、『これなら2時間で収まる』と新しい構想を語ってくれたんです。それで、中盤からカオナシの話になったんですが、そこは宮さんという人のすごさで、カオナシの話も入れるし、湯婆婆の話も入れるし、銭婆の話も入れるし、結局全部入れてしまった。その結果、どうしても真ん中辺りが、丁寧に説明してない感じはしますね。要するに前半が終わって、後半に入った時、時間の経過がそれまでとまるで違う。かなり早くなっています。」

つまり、当初は湯婆婆を倒して終わる構想だったが、銭婆の存在を新たに創りだし、それもまた倒すという構想に変更。しかしそれも話し合いの結果止め、カオナシを重要なキャラクターに位置づけたうえで、銭婆も倒さないが登場はさせる、という現在の形になったというわけですね。

カオナシは宮崎監督曰く「本当に単なる脇役だった」
という背景キャラからの大出世

銭婆も倒されるべき存在から、良いお婆さんに

鈴木プロデューサーの言うように、もし映画が3時間で作られていたならば、個人的には海原電鉄のシーンをもっと長めに入れて欲しいですね。あのシーンの静けさ、美しさ、懐かしさ、ほのかに漂う寂しさ、謎……。


…良い。いっそのこと海原電鉄がテーマの短編作品があって欲しいです。

実際、千と千尋の神隠し―Spirited away (ロマンアルバム) によると、宮崎監督は当作品を制作すると決めたときから千尋を電車に乗せようと考えていたそうで、そのシーンでは、「宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に対するひとつの回答になるような、もうひとつのドラマがそこで用意されていた」のだとか。尺の都合で実現されなかったということですが…残念。

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