2016/09/26

『レッドタートル』を理解するために。助けになる監督&高畑勲の言葉


『レッドタートル ある島の物語』、素晴らしい作品です。広く伸びやかな空間の美しさと、ゆったりとした時間の流れが心地よく、このシンプルで無駄の一切ないに空気に身を委ねていたい作品でした。

しかし、万人受けは難しい作品であるともいえます。わかりやすさを廃し、私たちがどう感じるのか?それぞれの解釈を試してくるため、合わない人にはただ「単純な映画」ないし「何が言いたいのかわからない映画」と映ったかもしれません。

そこで今回は、映画のパンフレットから一部抜粋して、作品を理解することの助けになると思われるマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督の言葉と、高畑勲さんの当作品への思いをご紹介します。

以下、監督の言葉の抜粋です。


セリフをなくしたことについて


当初は少しセリフがありました。ほぼ完成したものを高畑勲監督に見せると、もっと思い切ってセリフを全部削るようアドバイスをいただきました。アニメーションの完成度に非常に満足していたので、私も同じことを考えていました。その後、鈴木敏夫プロデューサーにも相談したところ「セリフがない方が絵に集中できるからなくしていいと思う」と言ってくれましたので、セリフなしでいくことにしました。


なぜ、カメなのか?


この物語は、広大な海に存在する生き物を必要としていて、本能的に浮かびました。巨大なウミガメだ、と。魅惑的な神秘を兼ね備えたキャラクターが必要でした。カメの特性を挙げるとすれば、相手を思いやるやさしさ。平和的。魚と違って、手(前足)と足(後ろ足)があり、陸にあがることができ、どこか人間的でもあります。一方で、古代から存在する孤独な生き物で、時には長い距離を旅し、永遠に生きているような気もするので人間の対極の存在でもある“不死”のイメージもあると思います。ビジュアル的にもウミガメはとてつもなく美しい生き物で、アニメーション作品で強く印象に残るキャラクターだと思います。


ずばり、レッドタートルとは?


正直、理にかなった答えがないんです。
この物語には、この生き物の神秘的な存在感が必要だと強く感じていました。
そしてこの神秘的な存在感が自然にわかり易い形登場すべきであり、
論理的な説明は必要ないと思っていました。
熟考に熟考を重ねて決めましたが、
高畑さんも鈴木さんも私の選択を信頼してくれて嬉しかったです。
この物語は、緊張感と自然な時間の流れを紡いでいます。
と同時に、タイムレスな感覚も味わえます。
神秘的なウミガメの存在がその感覚をもたらしてくれると思います。
映画を観終えた観客がこの物語に何か感じてもらえたらと強く願います。



次は、高畑勲さんの言葉。叶精二さんのツイートより引用です。

高畑勲さんの言葉







すべてを説明し、分かりやすくしなければ「良作」ではないのか?そんな事はないはずです。もっと自由でいい、私たちが考える余地のある作品があっても良い、すべてが論理的に説明される必要もない、あとは、それを受け止めた上で「合うか合わないか」を決めればいいのではないでしょうか?監督が「理にかなった答えがない」という以上、この作品こそが各々の解釈をしていい作品なのだと思います。

これもまた「ジブリ作品である」と、多くの人に受け止められることを切に願いたいですね。

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