スタジオジブリの作品『もののけ姫』といえば、浮かぶのはこの作品ですよね。
ですが、同じジブリの『もののけ姫』でも、全く違う『もののけ姫』があるのをご存知ですか?それが絵本版『もののけ姫』です。
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こちら、現在は新品で購入するのはかなり困難です。かつて販売されていた『宮崎駿 イメージボード集』(講談社)にも収録されている作品なのですが、その『宮崎駿 イメージボード集』はさらに入手が容易ではありません…。
それでも、その内容は一読の価値ありです。例えば以下の画像を見てもらうだけでも分かるとおり、アニメ映画版『もののけ姫』とはかなり内容が違うものなのです。
この作品、元々は1980年にテレビのスペシャル番組用に企画されたもので、ナウシカの後の次回作候補としても挙げられていたそうです。しかし映画会社やテレビ局に売り込んだものの、「暗い」の一言で片付けられてしまったのだそうです。そのストーリーボードを1993年に絵本化したものが、この『もののけ姫』なのです。
そして映画版『もののけ姫』の原作というよりは、むしろ後の『となりのトトロ』や『千と千尋の神隠し』などに通じる要素も垣間見られるという意味で、貴重な作品となっています。
以下、その内容を少しだけご紹介したいと思います。
戦いに敗れたひとりの武士。
フラフラとたどり着いた先には大量の食べ物。
勝手に食べていると…帰ってきたのは大きなもののけだった!
三人の娘のうち、ひとりをやるから助けてくれ、と、
もののけにお願いしてしまう武士。願いは聞き取られるが…
戦いに敗れ、もののけに娘をやると約束してしまい、
なおかつまた敵軍が迫ってきている。
そんな武士の不甲斐なさに奥方は激怒し、
三番目の姫以外を連れて国に帰ってしまう。
そんな武士の不甲斐なさに奥方は激怒し、
三番目の姫以外を連れて国に帰ってしまう。
すると、追いつめられた武士に、「力を貸してやる」と悪霊が宿る。
取り付いた悪霊によって恐ろしく強くなった武士だったが、
悪霊は、その秘密を知る三番目の姫を疎ましく思うようになる。
追い出されるようにもののけに連れさられてしまう姫。
しかし姫は、「父が元に戻らなければ嫁にはならない」と言って聞かない。
仕方なくもののけは、姫の父である武士をもとに戻すため、
姫とともに旅に出て、武士を元に戻そうとするのだが…
…といったところが、絵本版『もののけ姫』のあらすじです。このように、1997年のアニメ映画版とはほぼ異なる内容となっています。しかし、映画版のもののけ姫“サン”の名は、この“三の姫”から取られているなど、ほんの少しの共通点は残っています。
例えば以下のシーンなどは、むしろトトロや千と千尋を彷彿とさせるものです。
トトロ+ネコバスなもののけの姿
『千と千尋の神隠し』に通じるような城の外観と内部
とはいえ、これが“トトロの原点”になったかといえば、そうではないようです。映画版『もののけ姫』の絵コンテ集に付属しているおかだえみこさんの作品論によると、トトロやネコバスの初期スケッチは1976年には既に描かれていたそうなので、もしかしたら、この作品でトトロをやってしまおうという目論見だったのかもしれませんね。
そして…もののけと姫はどうなってしまうのか!?
もののけとは何者なのか!?
購入が難しくても、図書館に置いてあることが多い作品だと思いますので、是非読んでみてください。当時、宮崎監督が「もっとも熱心に描いた」というこの作品、もちろんアンハッピーエンドにはなりません(笑)
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