2016/08/06

解説:『もののけ姫』のジコ坊とは何者なのか?


『もののけ姫』において、裏で色々と立ちまわり暗躍していたジコ坊。

彼は何者なのか?誰の命を受けて動いていたのか?作品を見ていてもよくわからなかった方もいるのではないでしょうか?今回は、このジコ坊という存在について解説されている部分をご紹介したいと思います。


まずは書籍『「もののけ姫」はこうして生まれた。』から、ジコ坊についての人物説明です。
「非人の頭らしい。全国の情報を集め、裏側の商売に徹している。エボシのもたらした石火矢を配下にしこんで、エボシのタタラ経営に加担した。要するに傭兵の口入れ屋のようなものだが、本心はシシ神の首にある。エボシが独自の石火矢隊(女達の)を組織したことに危機感がある。乙事主が勢力を結集したことを好機として、森がタタラを攻撃している間に、天皇の書状と情報網で集めたジバシリ、悪党共と、自分の配下を組織して一挙にシシ神を殺そうとはかる」

ここでは、ジコ坊は「非人の頭」であり、「傭兵の口入れ屋のようなもの」であるということが分かりました。エボシのタタラ場経営にも手を貸していたとは、驚きです。しかし、これだけではもうひとつ要領を得ないかもしれませんので、さらに書籍『折り返し点―1997~2008』より、より詳しい記述を抜粋します。

以下、ほかならぬ宮崎監督の言葉です。
ーー彼(注:ジコ坊)は誰かの命令で動いてるんですか。

宮崎「師匠連の師匠たちの命令で動いているんです。やんごとなき方々もいる師匠連はなにを考えているのか。師匠連て何者かと質問するスタッフにたいしては、君は徳間グループの一員だろ。じゃあ徳間グループのトップが何を考えていて、どうやって政策を決め、どういう方針で物事をすすめているか知ってるか。そんなことは知らなくてもやっていけるだろ。だからジコ坊だってそんな雲の上のことは考えないし、解説などしないんだと答えていました。彼はまた石火矢衆という現場の組頭でもあります。」

ーー坊さんですよね。

宮崎「日本というのは、室町期なんてのはとくにそうですけど、得体の知れない奴がいっぱいいるんですよ。彼は半俗半聖というか、ちょうど山伏みたいなもんです。山伏というのも坊主じゃないですよね。坊主じゃないけれどもただの俗人でもないという存在。そこらへんが明瞭じゃないんです。そういう人たちがあの時代にはいっぱい輩出して、その連中はいったい何をやってるのか分からない。絵巻物を見ても、実に奇妙な格好をしてながら、大手を振って大通りを歩いてる。唐傘なんてのはそう簡単には持てるはずがないのに、連中はボロをまといながら平気で持ってる。そういう混沌とした時代ですから、だからいろんな結社があったし、いろんな組があっただろうと思うんです。唐傘連というのも石火矢衆というのもそのひとつですね。あの牛飼いというのも、映画の中ではあんまり活躍しなかったですが、あれも武装集団でただの人夫の集まりじゃないんです。命令系統があって戦わなきゃいかんときのために、ちゃんと武装している人たちなんですよ。」

宮崎監督からはやや辛辣な言葉も飛び出しています。いちいちトップが何を考えているのかなんて気にしないだろ?と言われていみると…う~ん、まあ、確かに…何もかもを把握は…していないかもしれません(笑)とにかく、彼は「師匠連」という組織の命令で動いている、石火矢衆の組頭、山伏みたいなものである、という事がここから分かります。非人の頭または山伏みたいなもの、という曖昧な存在であるようです。

そして、宮崎監督の言葉から「唐傘連」「石火矢衆」「牛飼い」という言葉が出てきていますので、こちらも整理しておきましょう。

唐傘連とは、真ん中の男のような赤い服の集団のこと。
ジコ坊と行動を共にしていましたね。

石火矢衆はその名の通り石火矢を使う集団。
彼らはタタラ場の人間ではなく、唐傘連の支配下にありますが、
どうやらエボシは独自にタタラ場の女性のみの石火矢衆を組織しているようです。
白い布で顔を覆い、柿色の服を着ています。

牛飼いはご存知、タタラ場に住む男たちのこと。
もちろん甲六も牛飼いです。

さらに叶精二さんによると、石火矢衆の服装にはこのような意味がこもっているそうです。

といったわけで、非常に複雑に人間関係が入り組んでいるのが『もののけ姫』という作品です。理解するのは大変ですが、理解できたとき、その奥深さに感嘆し、さらに作品が好きになるはずです。

折り返し点―1997~2008
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