ネットでは『千と千尋の神隠し』のモデル地による噂(デマ)が後を絶ちません。この旅館も「千と千尋の神隠しの油屋のモデル」としてネットでは有名になっています。長野県は渋温泉にある旅館『金具屋』。どんな旅館なのか?画像を見てみましょう。
確かに似ている部分があります。モデルと言われたらそんな気がします。ということは、モデル地なのでしょうか?“似ている”とモデル地と断定できるのでしょうか?そこが問題です。そして結論を言うと、金具屋が油屋のモデル地であるという可能性は限りなく低いのです。譲歩した言い方をしても、モデルかどうかは分からないのです。
何を根拠にそう言えるのか?今回は、そちらをご紹介します。
まず私の知る限り、金具屋をモデル地として書いているジブリ関係の資料は見つかりません。(参照:「『千と千尋の神隠し』の舞台・モデル地は九份」というデマについて&モデル地と称する日本の旅館について / ジブリの認める『千と千尋の神隠し』のモデル地の画像)となると、ここがモデル地だという情報はどこに書いてあった情報なのでしょうか?何が根拠となっているのでしょうか?それは信頼できる情報源なのでしょうか?ということが問題となってきます。ジブリとは関係のない人が根拠なく言っていることならば、それはただの想像です。
そしてこの説はスタジオジブリ公式サイト(ジブリ日誌 2003年1月09日(木))においても否定されています。以下、抜粋です。
湯屋「油屋」のモデルはどこか、という質問を映画の公開直後からたくさんいただきました。この件について、宮崎監督に直接質問したことがありますが、監督の答えは、「色々な温泉が入っていて特定のモデルはないけれど、道後温泉は確かに入っている」とのことでした。
(中略)
公開後、「山形の銀山温泉」「宮城の鎌崎温泉」「群馬の四万温泉」「長野の渋温泉」「鳥取の羽合温泉」などの温泉宿から、「うちがモデルではないか」というお話をいただきました。いずれも、古風で立派な建物で、なかには、正面に赤い橋が架かっていたり、大きな湖に面していたりする、映画にそっくりな湯屋もありました。また、同じ「油屋」の屋号を持つ温泉旅館は国内に何軒かあり、中でも長野県の諏訪湖畔に建つそれは、結構似ているようにも見えます。これらの温泉地に監督が訪れたことがあるのか否かについては、残念ながらわかりませんが、監督が特定のモデルはないという以上、正解ではないようです。
(中略)
公開後、「山形の銀山温泉」「宮城の鎌崎温泉」「群馬の四万温泉」「長野の渋温泉」「鳥取の羽合温泉」などの温泉宿から、「うちがモデルではないか」というお話をいただきました。いずれも、古風で立派な建物で、なかには、正面に赤い橋が架かっていたり、大きな湖に面していたりする、映画にそっくりな湯屋もありました。また、同じ「油屋」の屋号を持つ温泉旅館は国内に何軒かあり、中でも長野県の諏訪湖畔に建つそれは、結構似ているようにも見えます。これらの温泉地に監督が訪れたことがあるのか否かについては、残念ながらわかりませんが、監督が特定のモデルはないという以上、正解ではないようです。
最後に何より大事なのは、この話は金具屋さんが自ら疑問を呈しているということです。それは金具屋さんのサイトから確認することができます。重要な部分を抜粋してみます。
2001年以降、当金具屋に対する質問としておそらく一番多いものが、
「あのアニメ映画の舞台になった旅館ですか?」
というものです。
テレビ地上波での放送もありますので、ここでその正確な情報について、「熱風」の講読者であり、「汗まみれ」のヘビーリスナーである私、九代目がまとめてみたいと思います。
まず、事実関係として。
映画の「制作の為」に監督やスタッフの方が取材にこられたということはありません。
そして、少なくともここ20年の間に、宮崎監督が宿泊に来られたこともないと思います。
ですが、公開年以降にあまりにも反響が大きかったために、スタジオに御礼がてら連絡をとったところ、スタッフのみなさんが当館のことをご存知でした。うれしかったですね。
(中略)
さてあの映画には、実際にモデルの一つとして名前があがっているものがいくつかあります。
道後温泉や江戸たてもの園、目黒雅叙園など。当館はそこには含まれておりません。
実際に監督が訪れた四万温泉の積善館さんも有名ですが、そういったエピソードも当館にはありません。
(※ブログ主補足:監督が四万温泉を訪れたのは映画公開後であり、四万温泉もモデル地ではありません)
「あのアニメ映画の舞台になった旅館ですか?」
というものです。
テレビ地上波での放送もありますので、ここでその正確な情報について、「熱風」の講読者であり、「汗まみれ」のヘビーリスナーである私、九代目がまとめてみたいと思います。
まず、事実関係として。
映画の「制作の為」に監督やスタッフの方が取材にこられたということはありません。
そして、少なくともここ20年の間に、宮崎監督が宿泊に来られたこともないと思います。
ですが、公開年以降にあまりにも反響が大きかったために、スタジオに御礼がてら連絡をとったところ、スタッフのみなさんが当館のことをご存知でした。うれしかったですね。
さてあの映画には、実際にモデルの一つとして名前があがっているものがいくつかあります。
道後温泉や江戸たてもの園、目黒雅叙園など。当館はそこには含まれておりません。
実際に監督が訪れた四万温泉の積善館さんも有名ですが、そういったエピソードも当館にはありません。
(※ブログ主補足:監督が四万温泉を訪れたのは映画公開後であり、四万温泉もモデル地ではありません)
というわけで、「映画の「制作の為」に監督やスタッフの方が取材にこられたということはありません。そして、少なくともここ20年の間に、宮崎監督が宿泊に来られたこともないと思います。」とのことですし、ジブリ関係の資料に記載がない点からも、金具屋がモデルである可能性は低いといえますし、少なくともモデル地だと断定できる根拠は何もないわけです。
ちなみに金具屋さんのサイトでは「なぜ多くの人が「とても似ている」「モデルではないか」と言ったのか?」についても書かれていますので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。(http://www.kanaguya.com/sento.html)
信じていた方にとっては残念なお話かもしれませんが、宮崎監督の言うように「似たような場所はいっぱいある」ということなのだと思います。しかし、モデル地であるかどうかは別としても素敵な旅館のように思いますので、「油屋に似た素敵な旅館」として訪れるのが良いのではないかと思います。九代目の方は「熱風」の講読者であり、「汗まみれ」のヘビーリスナーであるようですし…(笑)
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