『天空の城ラピュタ』に登場する悪役ムスカ。
悪党として非常に印象的であり、その意味では素晴らしいキャラクターです。こういうキャラクターを作っている時、作者は何を考えているのでしょう?嫌いながら作っているのでしょうか?それとも…
書籍『ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ』に収録されている鈴木敏夫プロデューサーの語り下ろし(借金を背負って発足した「スタジオジブリ」)によると、こうあります。
作品作りにおいては、要所要所で高畑さんが来て、いろんな話し合いをしました。『ラピュタ』では、そんなことをしたことのない宮さんが珍しくシナリオを書いたんです。
(中略)
シナリオに話を戻しますと、それを読んだ僕と高畑さんの意見は同じでした。喫茶店で感想を述べあったんですが「話の構造がムスカの野望と挫折になっているよね。これでいいのかな?」ということ。パズーをもっと主人公らしくした方がいいと考えました。パズーの年齢をもう少し上にすればキャラクターに陰影が出て、ムスカの野望と挫折は少し後ろに引っ込むんじゃないか、と。そしてそのことを、宮さんに言いに行きました。僕一人でした。そうしたら宮さんが怒ったんです。
「小学生に見せる映画だ。年齢を上げたら元も子もない!」
もうしょうがないと思い、そこから『ラピュタ』は出発しました。だから物語は、最初のシナリオ通りです。ただ、僕が「ムスカの野望と挫折の物語だ」と指摘した時、宮さんはちょっと困った顔をした。宮崎駿はムスカが好きなんです。『コナン』でいうとレプカ。ああいう人に思い入れがあって、自己投影しているんですね。ドーラは、『ラピュタ』の制作中に亡くなった宮崎さんのお母さんですし。でも、キャラクターに自己や母親を投影してるなんて、本人にしたら恥ずかしいことで、人には言われたくなかったんでしょう。僕がシナリオに注文をつけた時に宮さんがムキになった本当の理由は、そこにあると思う。
(中略)
シナリオに話を戻しますと、それを読んだ僕と高畑さんの意見は同じでした。喫茶店で感想を述べあったんですが「話の構造がムスカの野望と挫折になっているよね。これでいいのかな?」ということ。パズーをもっと主人公らしくした方がいいと考えました。パズーの年齢をもう少し上にすればキャラクターに陰影が出て、ムスカの野望と挫折は少し後ろに引っ込むんじゃないか、と。そしてそのことを、宮さんに言いに行きました。僕一人でした。そうしたら宮さんが怒ったんです。
「小学生に見せる映画だ。年齢を上げたら元も子もない!」
もうしょうがないと思い、そこから『ラピュタ』は出発しました。だから物語は、最初のシナリオ通りです。ただ、僕が「ムスカの野望と挫折の物語だ」と指摘した時、宮さんはちょっと困った顔をした。宮崎駿はムスカが好きなんです。『コナン』でいうとレプカ。ああいう人に思い入れがあって、自己投影しているんですね。ドーラは、『ラピュタ』の制作中に亡くなった宮崎さんのお母さんですし。でも、キャラクターに自己や母親を投影してるなんて、本人にしたら恥ずかしいことで、人には言われたくなかったんでしょう。僕がシナリオに注文をつけた時に宮さんがムキになった本当の理由は、そこにあると思う。
ドーラは亡くなったお母さん、という説も面白いですが、やはり気になるのは「宮崎監督ムスカ大好き説」です。実は宮崎監督は、たびたびこの大量生産、大量消費の文明社会を嫌悪するコメントをしており、「滅んでしまえばいい!」や「洪水でみんな流されればいい!」みたいな過激なコメントも言うことがあります。(本気ではないでしょうけど…)
ナウシカ、特にコミック版も大破壊がありますし、宮崎さん、破壊願望があるのかもしれません。あながちムスカが自己投影だというのも間違いではないのかも!?
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