『もののけ姫』がブルーレイ化した際のトークイベントにて、鈴木敏夫プロデューサーが、エボシ御前が死んでいた可能性を話していましたので、そちらをご紹介します。
本作の製作段階でのエピソードとして鈴木プロデューサーは、クライマックスのシーンでタタラ場の女主人のエボシ御前が腕をもぎ取られるシーンとタタラ場が台炎上するシーンに言及。当初の絵コンテの段階では、このふたつのシーンは存在していなかったと明かし「このふたつがないとあっさり終わると思ったけど、でも僕がひとこと言うと、(映画が)長くなって完成が間に合わなくなる可能性もあった」と悩みに悩んだことを告白。
「久石譲さんのスタジオに向かう電車で宮さんに「エボシ御前は殺すべきではないか?」と意見したんですが、宮さんは電車に乗っていることも忘れたように大声で『そう思ってたんだ!』と言ってくれました。ついでに、これまでの作品では主たる舞台の多くが炎上しているので、それをやると観客が映画を観た気になると言ったんです。そうしたら宮さんは久石さんとも音楽の話ではなくその話ばかりしていた」と知られざる製作秘話を明かした。
「久石譲さんのスタジオに向かう電車で宮さんに「エボシ御前は殺すべきではないか?」と意見したんですが、宮さんは電車に乗っていることも忘れたように大声で『そう思ってたんだ!』と言ってくれました。ついでに、これまでの作品では主たる舞台の多くが炎上しているので、それをやると観客が映画を観た気になると言ったんです。そうしたら宮さんは久石さんとも音楽の話ではなくその話ばかりしていた」と知られざる製作秘話を明かした。
http://news.ameba.jp/20131203-329/ より
宮崎監督が「そう思ってたんだ!」と言っていたように、当初は監督もエボシを殺すことに積極的だったようです。しかし作品を観れば分かるとおり、結局エボシ御前は腕を食いちぎられる大怪我は負ったものの、死なずに済んでいます。
書籍『「もののけ姫」はこうして生まれた。』によると、監督は「やっぱり殺せないよ、エボシは」と思い直したそうなのですが、エボシを生かすことに決めたことに関して、叶精二さんのインタビューではこのように言っています。
宮崎「エボシという女なんですが、鈴木プロデューサーは「絶対壮烈に死んでもらわなけりゃ困る」と言い出しまして。でも生き残るんです。生き残る方が大変だと思っているもんですから。死ぬならもっと壮烈に闘ってくれなきゃ困るんだけど、壮烈に闘う基盤がないんですよ。映画の中で出来なかったんです。壮烈に闘って死ぬ方が、結構よくあるなとも思ってね。この映画では死ぬ筈だった者が平気で生き残ってるんです。死ななくてもいい人間たちが累々と死んでいるとかね。そういう意味では酷く無惨な映画なんです。」
監督がエボシを殺さなかったのは、キャラクターへの愛着がわいたというよりは、物語の展開・テーマ上、殺すわけにはいかなかった…といったところが理由のようです。
ラストシーン付近で(一応は)元気な様子でタタラ場の復興を宣言していたエボシ。彼女を気に入っている方にとっては一安心、といったところですね。
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