2016/10/11

影響力が強すぎた『カリオストロの城』のルパン像


「影響力が強い」ということは得てして良いことです。ジブリによってアニメ映画化された作品は、概ね原作の知名度も上がったという意味では、良い影響を及ぼしているといえます。しかし、必ずしも良いことばかりではないようです。それが原作と異なる影響をおよぼしてしまう場合は。

『ルパン三世 カリオストロの城』

宮崎駿監督作品としても、ルパン作品としても非常に評価が高い作品です。では、この作品は『ルパン三世』という作品に全く良い影響を及ぼしたのでしょうか?今回は、『ルパン三世』の原作者であるモンキー・パンチさんの語る、カリオストロの城が及ぼした意外な弊害についてご紹介します。

以下、書籍『宮崎駿全書』より(初出は『THE ルパン三世 FILES』(96年4月 キネマ旬報社))
 原作者のモンキー・パンチは、本作の余りに高い評価について96年に以下のような複雑な心境を語っている。「アメリカでもヨーロッパでも『ルパン三世』を知っている人はほとんどが『カリオストロの城』ですからね。物語の面白さもそうですが、その凄さは、僕とは違う『ルパン三世』を出した感じがします。僕の原作の場合は毒があって、女性に対する優しさはあるけれども、ああいう優しさはないんですね。わりとクール。それに対して宮崎さんは宮崎さん流のルパンを出した。ただ問題は『カリオストロの城』以降、作る人がみんな宮崎さんに引っ張られている。だからルパンが優しくなって、女の子が倒れたら手を貸して起こしてあげるようなルパンばかりで、もういい加減にしてくれと言いたくなる。」

宮崎監督は、原作から大きく展開やキャラクター設定を変えてしまうことがよくあります。「『カリオストロの城』のルパンは原作コミックやアニメ初期のルパン像とは異なっている」という話は、私も何度も耳にしたことがありました。その際は「でもカリオストロは面白かったのだからいいんじゃないか?」と思ったものです。しかしルパンの原作コミックと、特にアニメのファーストシーズンを見て驚きました。クールで乾いたルパンが非常に魅力的なのです。カリオストロのルパンに異を唱える方も意見も理解できました。

どちらのルパンも好きな私としては、モンキー・パンチさんの言うように、アニメ初期や原作コミックのようなクールなルパンがあっても良い、むしろもっとあって欲しいと思います。(深夜に放送していたルパンシリーズにはそのような要素が見られましたね)誰もがカリオストロに引っ張られる必要はなく、優しいルパンもクールなルパンも等しく描いてほしいものです。それはきっとルパンという作品にさらなる深みを与え、カリオストロという作品のさらなる評価につながるでしょう。

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