『ルパン三世 カリオストロの城』の舞台となる架空の国「カリオストロ公国」。
作中ではどういった国なのかはあまり語られておりません。しかし、設定としてはどんな国なのかが宮崎監督によって語られています。今回は、そんなカリオストロ公国の設定についてご紹介します。
以下、書籍『宮崎駿全書』からの引用です。
宮崎は後に「カリオストロ公国の歴史」と題された裏設定の小文も記している。それによれば、カリオストロは中世貴族の末裔で、神聖ローマ帝国時代からの独立国。王族は外交の大公家と裏部隊の伯爵家に別れている(原文ママ)。表向きは観光と切手販売を生業とし、裏ではニセ札造幣と周辺諸国の脅迫・スパイ・暗殺を請け負い、独自の地位を築いている。両家の統一は伝説の財宝復活を意味し、ニセ札産業に代わる資源獲得の可能性がある。宮崎は、陰謀の暴露と共に伯爵家の二面性を強調し、弁護も欠かさない。
「治安は良く、国民の生活水準は高い。カリオストロ伯爵は国民の厚い信頼を集め、尊敬されている。ニセ札づくりは、代々長子存続(原文ママ)のもっとも尊敬され生活も保障された職業であり、愛国とか正義を振りかざして戦争に明け暮れる隣国大国の有様にくらべれば、小国のかれらがむしろ芸術的ともいえる自分たちの稼業を密かに誇り、それによって得てきた平和を甘受するのを責めることはできない」
一種の欧州風刺ともとれるが、宮崎は伯爵ですら、思い入れのある分身と捉えていた。
「治安は良く、国民の生活水準は高い。カリオストロ伯爵は国民の厚い信頼を集め、尊敬されている。ニセ札づくりは、代々長子存続(原文ママ)のもっとも尊敬され生活も保障された職業であり、愛国とか正義を振りかざして戦争に明け暮れる隣国大国の有様にくらべれば、小国のかれらがむしろ芸術的ともいえる自分たちの稼業を密かに誇り、それによって得てきた平和を甘受するのを責めることはできない」
一種の欧州風刺ともとれるが、宮崎は伯爵ですら、思い入れのある分身と捉えていた。
意外なことに、後半の文章はまるでカリオストロ伯爵が善人であるかのような表現です。また、公国自体は住みやすく、良い国であるようですので、伯爵を始めとする一族は決して全てが「悪」ではない、といったところでしょうか?単純な「悪」ではないところが、非常に物語を入り組んだものにしており、ある種「深み」を感じさせますね。あるいは「悪」とはわずかな歪みによって為されるものだということなのかもしれません。
公国を利用する周辺諸国もまた「悪」の面を持っているといえます。カリオストロ伯爵一人が悪の権化、というわけではなく、周囲の環境も伯爵やその一族を生み出し存続させている原因なのだとしたら、伯爵にも哀れな面があるかもしれませんね。
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