今回は、宮﨑駿さんが描いた『風の谷のナウシカ』の原型ともいうべき構想『風の谷のヤラ』のイメージボードをご紹介します。(書籍『風の谷のナウシカ―宮崎駿 水彩画集』および『宮崎駿イメージボード集』より)
これは1980年~81年ころに描かれたもので、きっかけは、アメリカの漫画家リチャード・コーベンが自費出版したコミック『ロルフ』の長編アニメ映画化の構想。しかし『ロルフ』の映画化は通らなかったため、その企画をオリジナル化させたのが『風の谷のヤラ』だそうです。そしてこの『風の谷のヤラ』の映画化を考えた際に、82年、『アニメージュ』誌上にてマンガを連載することになり、『風の谷のヤラ』はさらに変化し『風の谷のナウシカ』となった、とのこと。
飼い犬を従えたヤラ。ナウシカとはやや雰囲気が異なっています。
ナウシカよりもいくぶんか女性的な特徴が強調されているように感じます。
こちらはユパの原型となったキャラクター。
ユパよりも丸くてずんぐりしています。
腐海の構想が出来上がった頃に描かれたのか、マスクを付けています。
右下には「ガスマスクを付けてくさった海を行く」という言葉が。
以下は、『風の谷のヤラ』と同時期に描かれた『戦国魔城』という企画用に描かれたもの。こちらにもナウシカ、ラピュタ、もののけ姫の原型となるような絵が多数描かれています。
メーヴェの原型のような乗り物に乗る女性とフラップターに乗る敵と思われる存在。
アスベルの原型と思われるキャラクター。
どちらかというとアシタカに似ている気がします。
最後に、こちらも『風の谷のヤラ』と同時期に描かれたと思われる、おそらく日米合作『リトル・ニモ』(後に頓挫)の頃に描かれたと推測されているイメージボードです。
『土竜とクシャナ』と名付けられ、
既に「クシャナ」という名が出ているのがポイントです。
ナウシカに登場するクシャナの雰囲気はやや感じるでしょうか…?
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