『紅の豚』では、ポルコの飛行艇サボイアS.21を修理・改良したのはピッコロ社の一族、それも全員女性でした。
実はこれには『紅の豚』の制作体制が大きな影響を与えていたのです。今回は、その『紅の豚』当時のジブリの状況と制作スタッフについてご紹介します。
以下、書籍『ジブリの教科書7 紅の豚』より、鈴木敏夫プロデューサーの制作秘話から引用です。
長期間にわたる『おもひでぽろぽろ』の制作で、作画監督の近藤喜文さんも美術監督の男鹿和雄さんも神経をすり減らし、クタクタになっていました。作品の質を維持するためには、エースの彼らに連投をお願いしたいところですが、スタジオジブリをうまく回していくためには、その下のスタッフから誰かを選抜すべきかもしれない。僕が「どうしたものか……」と悩んでいると、宮さんがこんなことを言い出したんです。
「鈴木さん、今度はスタッフを一新して、すべての重要な仕事を女性に任せよう」
女性が作る飛行機の映画ーー弱体化を招きかねない状況を逆手にとって、現場の空気を盛り上げた。この発想には僕も感心しました。
(中略)
そうやって要となるポジションをすべて女性が占めていきました。これはジブリのみならず、当時のアニメーション界全体を見渡しても画期的なことでした。
映画の中でも、ポルコが飛行艇を直すピッコロ社の作業員はフィオをはじめみんな女性だったじゃないですか。あのシーンは自分たちがスタジオでやっていることの投影だったんですよ。
「鈴木さん、今度はスタッフを一新して、すべての重要な仕事を女性に任せよう」
女性が作る飛行機の映画ーー弱体化を招きかねない状況を逆手にとって、現場の空気を盛り上げた。この発想には僕も感心しました。
(中略)
そうやって要となるポジションをすべて女性が占めていきました。これはジブリのみならず、当時のアニメーション界全体を見渡しても画期的なことでした。
映画の中でも、ポルコが飛行艇を直すピッコロ社の作業員はフィオをはじめみんな女性だったじゃないですか。あのシーンは自分たちがスタジオでやっていることの投影だったんですよ。
『紅の豚』は女性スタッフが中心となって制作された作品でした。そしてそれがピッコロ社の女性たちの描写に大きな影響を与えていたのです。例を挙げると、作画監督は賀川愛さん、美術監督には久村佳津さん…といったぐあいに、要のポジションが女性だったようです。時代を先取りする宮崎監督の先見の明には驚かされますね。そして、スタジオジブリの作品自体、少女・女性が主人公であったり、力強い女性が数多く描かれていたり(特に大きな笑い声が印象的!)と、その点で男女の分け隔てなく描いています。
これもまた、ジブリが愛される理由のひとつなのではないでしょうか?
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