『紅の豚』はご存知の通り、映画館で上映された長編アニメ映画です。
ですが、実は当初は15分ほどの短編映画、それも日本航空(JAL)の機内でしか見られない作品として作られていたのです。今回は、その詳細をご紹介します。
以下、書籍『ジブリの教科書7 紅の豚』より、鈴木敏夫プロデューサーの制作秘話から引用です。
『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『魔女の宅急便』と立て続けに作ってきて、さすがに宮崎駿も疲労困憊していました。
自分で言いだした手前、次回作は間を空けずに作らなければならない。けれども長編はしんどいーー宮さんは両方をいっぺんに解決する方法はないものかと考えた。そこで出てきたのが十五分ほどの短編フィルムを作るというアイデアでした。
ベースとなるのは、自ら模型雑誌に連載していた『飛行艇時代』という漫画。宮さんの好きな飛行機もので短編とくれば、気分としてはプライベートフィルムですよね。でも、それを道楽としてではなく、ちゃんと経営上も建前が立つような形にする。そこで僕が思いついたのは、非常に素朴なアイデアです。「飛行機の話なんだから、飛行機会社にお願いしてみよう」ということでした。以前、『魔女の宅急便』をロサンゼルス在住の日本人向けに上映するという企画で、日本航空(JAL)の文化事業センターと仕事をしたことを思い出し、そのとき知りあった池永清さんという方を訪ねることにしました。
「スタジオジブリ・宮崎駿の最新作、飛行機の映画を機内上映しませんか?」と率直に持ちかけたところ、池永さんは「それはおもしろいですね」と乗ってきてくれました。ただ現実的には、クリアすべき問題がたくさんあるだとうとも言われました。
自分で言いだした手前、次回作は間を空けずに作らなければならない。けれども長編はしんどいーー宮さんは両方をいっぺんに解決する方法はないものかと考えた。そこで出てきたのが十五分ほどの短編フィルムを作るというアイデアでした。
ベースとなるのは、自ら模型雑誌に連載していた『飛行艇時代』という漫画。宮さんの好きな飛行機もので短編とくれば、気分としてはプライベートフィルムですよね。でも、それを道楽としてではなく、ちゃんと経営上も建前が立つような形にする。そこで僕が思いついたのは、非常に素朴なアイデアです。「飛行機の話なんだから、飛行機会社にお願いしてみよう」ということでした。以前、『魔女の宅急便』をロサンゼルス在住の日本人向けに上映するという企画で、日本航空(JAL)の文化事業センターと仕事をしたことを思い出し、そのとき知りあった池永清さんという方を訪ねることにしました。
「スタジオジブリ・宮崎駿の最新作、飛行機の映画を機内上映しませんか?」と率直に持ちかけたところ、池永さんは「それはおもしろいですね」と乗ってきてくれました。ただ現実的には、クリアすべき問題がたくさんあるだとうとも言われました。
疲れ果てていた宮崎監督の息抜きとしての短編、それもJALでの機内上映、当初の予定が実現していたら、『紅の豚』という作品は今ほど有名ではなかったかもしれません。もちろん、レア度は増すでしょうけれど、もし観たくなったとしても、なかなか15分のジブリ作品のためにJALを利用して何処かへ行こうというのは…難しいですよね。
しかし結果はご存知のように、私たちは長編映画として『紅の豚』を楽しむことが出来ています。それは、このような理由でした。
絵コンテは全体で六十分ぐらいになってしまいました。そこで僕は逆提案をしたんです。
「宮さん、最初は短編ということでJALさんと話し合ってきたけれど、これだけ長くなってくると、もうその枠組みには収まらないでしょう。このまま続けるなら、さらに長くして、劇場用の長編映画として作っていきましょう」
「宮さん、最初は短編ということでJALさんと話し合ってきたけれど、これだけ長くなってくると、もうその枠組みには収まらないでしょう。このまま続けるなら、さらに長くして、劇場用の長編映画として作っていきましょう」
鈴木プロデューサーとの話し合いの中で、どんどん長くなっていってしまい、60分、そして最終的には現在のバージョンとなる93分となったのだそうです。というわけで、機内用の短編映画から長編映画として動き出すことに決まった『紅の豚』ですが、この変化に対して日本航空を説得するためには、当然のことながら大変な苦労があったそうです。
ちなみにもし『紅の豚』(飛行艇時代)が15分の短編だったらならば、ポルコがマンマユート団から子どもを救い出すところで物語が終わっていたそうですので、やはり長編映画になって良かったのではないでしょうか?
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