2016/11/19

『猫の恩返し』に出てくる猫の国は、原作では死んだ猫が行く場所だった!


どんな内容かは残念ながら公開されていないのですが、『猫の恩返し』には柊あおいさんが映画のために描いた原作マンガが存在しています。森田宏幸監督はそちらを参考にしつつ、また映画用の作品へと変化させ完成させたようですが、中でも映画と原作では「猫の国」の設定について大きな変化があったことを複数のスタッフがインタビューで答えていますので、今回はそちらをご紹介します。

(以下、全てのインタビューは書籍『ロマンアルバム 猫の恩返し』に収録されてるものです。)

まずは森田監督のインタビューより引用です。
ーー原作にあったテーマ性の高い要素としてはもう一つ、猫の国は死んだ猫たちが行くところ、永遠の命を持つ猫たちが住むところという設定がありました。でも、映画ではなくなってますね。

そう、原作ではユキちゃんは死んじゃってるんですよね。ペットを亡くした話にしてしまうと世界観が広がらないし、エンターテイメントとして重すぎるという判断だったんです。でも最近、鈴木敏夫氏から、死生観に興味を持つ思春期にありがちな心のスタンスを描こうとしてるんじゃないかと、教えられました。勉強が足りませんでしたね。そのとこを知ってたら、ちがう映画になってたかもしれません。


「猫の国」は原作では死んだ猫たちが行くところであり、何とユキちゃん、原作では死んでいました。

「世界観が広がらないし、エンターテイメントとして重すぎる」という判断でこの設定は無くされましたが、森田監督が後悔しているように、この設定でも面白かったのでは?という気がします。ただし、作品の持っている明るさはやや消えていたかもしれませんね。

この設定に関しまして原作者である柊あおいさん、このように仰っています。
ーー(前略)死んだ猫が行くところという部分で、映画とは違ったテーマ性を感じました。

 猫を飼っている人にとって、猫が死んだ後も生きている世界があるというのは、とても幸せなことじゃないかと思うんです。そういう世界が本当にあったらいいなという感じで考えました。もちろん猫の国の中で生きている猫もいて、彼らは、現代社会にも来られる。でもユキちゃんのように死んじゃった猫は来られない。そういう違いがあるのもまた楽しいと思うし、ファンタジーだからこそできたことだと思います。ハルとユキの絆についても、飼っていて生き物がいなくなってしまうと悲しい。でも本当は別の世界で幸せになっているというようなことがあったらどんなにいいだろうって思って作ったエピソードなんです。


死んでしまった生き物がどこか別の世界で生きている、そして私たちもそこへ行く機会があるかもしれない、そう考えることは私たちにとっても心が休まる温かい思想です。せめて架空の世界ではそのような国が存在していると設定することは、死んだらおしまい、と考えるよりもよほど希望がある考え方です。

美術監督の田中直哉さんはこう仰っています。
ーー猫の国の美術に関しては、どのようなイメージがあったんですか?

田中 猫の国の美術設計というのは、実は最後まで具体的なイメージがわかなかったんです。柊さんの原作には、小さい頃飼ってた猫が死んでしまった、猫の国に行ったら、その猫と再会できたというエピソードがあって、猫の国は、自分の時間を生きられないやつのゆく場所、すなわち閉ざされた場所だったんです。でも、森田監督と相談して、閉ざされた場所を強調しては描きたくない、と。でも、尺の問題もあって、そんなに猫たちの生活描写をしている時間もない。そんな中で出てきたのは、連れられてきたハルが思わず寝ころんでしまうような、心地のいい世界にしようということでした。


ハルが寝ころんでいるシーンは、映画ポスターなどにも使用されている印象的なシーンです。

制作上の制限と考え方の違いによりにより、猫の国は「ハルが思わず寝ころんでしまうような、心地のいい世界」になりました。このおかげで『猫の恩返し』は明るく楽しい映画になっていますが、「死んだ猫たちが行く世界」という設定も、捨てがたく魅力的な設定だったのではないでしょうか?

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