『猫の恩返し』の監督は宮崎駿さんでも高畑勲さんでもなく、森田宏幸さんです。ですので、宮崎駿さんとは違う作風であり、そこが良いところなのですが、宮崎駿さんも何度かアドバイスをしていたようです。今回は、書籍『ロマンアルバム 猫の恩返し』収録の森田宏幸監督のインタビューより、宮崎駿さんのスタッフをドン引きさせたアドバイスをご紹介します。
以下、引用です。
森田 ラストのスカイダイビングで、ハルが自分の気持ちを解放するシーンがありますね。落下するはるをバロンが助けに来て、手をさしのべる。そこでハルに気の利いたセリフを言わせろと、宮崎さんのアドバイスがあって、それが「バロン、好きよ!」だったんです。
ーー宮崎さんらしいセリフですね。
森田 スタッフみんなで引いちゃって(笑)。宮崎アニメになっちゃうと。張り合うつもりはないんだけど共感できなかったんですよ。ただ、絶体絶命の瞬間、ハルは自分の心の中で一番引っかかっていた何かを解放するという宮崎さんの宿題は理解できたので、考えました。かなりの日にち考えた末…「ひょっとして、私たち、かっこいいかも!」と。
ーーどうしてそういうセリフになったんでしょうか?
森田 ああいう場面で、心の奥から響いてくるような言葉を探していた時、僕の友人の女の子がタレントの話をしていて、ひたすら「○○くんかっこいい」を連呼していたのを聞いて、ふと、こういう子はほんとは自分がかっこいいと思いたいのではないかという気がしてきて。考えてみれば、ハルも冒頭から「だって、町田くん、かっこいいんだもん」と言ったりして、かっこいいに弱かったから。あ、これなのかな、と。人間ってどこか「私って、ちょっとかっこいい」と思える瞬間がないと、生きていけないんじゃないかなと、僕は思ったんですけどね。お客さんはどう思われるか分からないけれど。
ーー宮崎さんらしいセリフですね。
森田 スタッフみんなで引いちゃって(笑)。宮崎アニメになっちゃうと。張り合うつもりはないんだけど共感できなかったんですよ。ただ、絶体絶命の瞬間、ハルは自分の心の中で一番引っかかっていた何かを解放するという宮崎さんの宿題は理解できたので、考えました。かなりの日にち考えた末…「ひょっとして、私たち、かっこいいかも!」と。
ーーどうしてそういうセリフになったんでしょうか?
森田 ああいう場面で、心の奥から響いてくるような言葉を探していた時、僕の友人の女の子がタレントの話をしていて、ひたすら「○○くんかっこいい」を連呼していたのを聞いて、ふと、こういう子はほんとは自分がかっこいいと思いたいのではないかという気がしてきて。考えてみれば、ハルも冒頭から「だって、町田くん、かっこいいんだもん」と言ったりして、かっこいいに弱かったから。あ、これなのかな、と。人間ってどこか「私って、ちょっとかっこいい」と思える瞬間がないと、生きていけないんじゃないかなと、僕は思ったんですけどね。お客さんはどう思われるか分からないけれど。
う~む…このシーンで「バロン、好きよ!」ですか…。
さすがにちょっと雰囲気が違うような気がします(笑)やはりこの作品は森田宏幸さんたちのもの、「宮崎アニメ」の空気とは違うものを感じますし、結果的に宮崎さんのアイデアを採用しなかったことは正解だったように思いますが、いかがでしょうか?(しかし、ハルは結局最後にはバロンに「好きになっちゃったかも」とは言っていますが(笑))
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