2017/04/09

『おもひでぽろぽろ』の細部へのこだわり方が凄い!


『おもひでぽろぽろ』は非常にリアリティの高い描写が特徴の作品です。となると当然、その描写には綿密が取材が必要とされます。今回は、その綿密な取材がどのように行われたのか、その徹底ぶりを書籍『ジブリの教科書6 おもひでぽろぽろ』よりご紹介します。

以下、その部分の抜粋です。
写実的な「山形編」と昭和四十年代を舞台にした「思い出編」。どちらも細部が重要な役割を果たすため、制作にあたっては、細部の考証が丁寧に行われた。
 まずストーリー上重要な役割をになった紅花。当初から高畑は映画の中に、有機農業と絵になる作物を組み合わせて登場させることを考えており、そこで紅花にスポットが当てられた。シナリオハンティングで取材するうちに、より興味を持った高畑は、紅花に関する資料を収集、読破し、取材した地域以外にはまた別の生産方法があることなども調べ上げた。またその過程で、米沢市在住の紅花の権威、鈴木孝男の存在を知り、さらに詳しい取材をすることになった。

(中略)

また一九九〇年七月には、紅花の花のシーズンにあわせ作画・美術スタッフなど十六人が現地入り。実際に花摘みなどを体験した。この経験が画面に反映されることになった。また高畑自身はこうした取材を通じ、自分で考えた完璧な紅花の栽培方法をまとめられるほど、紅花づくりに習熟した。

「自分で考えた完璧な紅花の栽培方法をまとめられる」…わずかなシーンのための取材としてはあまりにも徹底されすぎているのでは?スケジュールは大丈夫だったのでしょうか?と思うほどです。(実際、大丈夫ではなかったそうですが(笑))

しかし、そのおかげでこの描写ができたのだから、やはりそれで良かったのでしょうね。

続きます。
「思い出編」の舞台となった昭和四十年代を再現するためにもさまざまな労力が払われている。
 たとえば、タエ子が『ひょっこりひょうたん島』の歌にあわせて踊るシーン。ここではまずNHKに八本だけ残っていた当時の映像をチェック。高畑が本編中に登場する歌に関心を持ったため、別ルートで『ひょうたん島』に登場した歌の歌詞が入手された。そこには保存映像には登場しない歌も多数あったが、レコードはNHKにも発売元のコロムビアにも残っていない。そこで『アニメージュ』のマニアのネットワークを使って探索を行い、北海道にラジオで放送された『ひょうたん島』特集をエアチェックしていた人物がいることがわかり。そこからテープを借りることができた。振り付けについては、当時の振り付け師を訪ねたものの、もう詳しくは覚えていないとのこと。そこでさらにその振り付け師から人形を操っていた女性を紹介され、その女性からようやく踊りを教えてもらうことができたという。

販売元が持っていないならマニアの力を使う。振り付け師が覚えていないなら覚えている人を紹介してもらう。素晴らしいリサーチ力です。ちなみにここで書かれているシーンがこちらになります。

こちらも多くの時間が割かれているシーンではないのですが…凄いですね。

最後はタエ子が父親に叩かれてしまうシーン。

 また、タエ子に父親にはたかれるシーン。その背後には『NHKのど自慢』の音がかすかに流れているが、その録音にあたっても徹底的な考証がなされている。まず昭和四十一年の『のど自慢』で使われていた楽器編成を再現、アコーディオンの演奏には、番組に出演した横森良造が起用された。また司会者の声も、当時司会だった宮田輝アナウンサーの声に似た人をということで、あごの輪郭の似たプロのアナウンサーを調査し、適役のアナウンサーを決めたという。

「あごの輪郭の似たプロのアナウンサーを調査」…どうやったのでしょう?アナウンサーの写真を徹底して見たとか…でしょうか?いずれにせよ、まさに「徹底」です。これがプロの仕事なのですね。

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