2018-08-06

『となりのトトロ』の悲しい裏設定:どうしてトトロは日本から減ってしまったのか?


『となりのトトロ』に登場するトトロ。

映画を超えてそのキャラクターが愛されていますが、作品内のトトロはどうも人間とは折り合いが悪いようです。

書籍『ジブリの教科書18 風立ちぬ』より、鈴木敏夫プロデューサーへのインタビューによると、こうあります。

もともと宮さんはトトロについてこんな妄想を膨らませていました。 かつてこの世には、たくさんのトトロ族がいた。彼らは人類と戦って滅ぼされたが、その生き残りがいろんな時代に登場する。中世なら「もののけ」、江戸時代には幽霊。 そして、いまは『となりのトトロ』......。トトロはそういう歴史を背負っている存在なんです。ただかわいいだけの生きもの じゃない。怖ろしさも含んでいる。

人類と戦って滅ぼされていた…悲しい。滅ぼされているという所に宮崎監督のメッセージが隠されているような気がします。というか、トトロって戦うんですね!(驚)でも結構強そうです!

というわけで、トトロは人類に滅ぼされていたようです。…と、言いたいところですが、一方、書籍『ロマンアルバム となりのトトロ』に収録されている「宮崎監督による登場人物覚書」によると、こうあるのです。

人間と交渉を持つのを嫌い、あたりがさわがしくなると山奥へ移ってしまう。その為に、最近ではめっきり姿を減らしてしまった。人語は喋らない。

こちらの記述では人類とは戦わず、むしろ人間を避けているうちに減っていってしまったかのように書かれています。こうして見ると、ご紹介した二つの設定は食い違っているように見えますが、どちらも作中で描かれている設定ではないため、どちらが正しいというのはないと思います。いずれにせよ、人間とはうまく付き合えないのがトトロのようです。

個人的には、人間を避けているうちに減っていってしまったという設定のほうが好きです。皆さんはいかがでしょうか?





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