2020-12-04

言葉にならない感覚を作品にしたような、マルコム・サザーランドの実験的アニメーション


今回は、アニメーション作家のマルコムサザーランド氏の作品を3つご紹介します。彼の作品は、聴覚や触覚から受ける感覚がそのままアニメーションになったような、言葉にならない感覚をアニメーションにしたようなものになっています。どこか感覚がくすぐられる感じが心地よく、物語はないけれど見入ってしまうのが特徴です。ですので、なるべく音を聞きながらご覧になっていただきたい作品です。どこかノーラン・マクラレンの作品に近い印象も受けます。


Light Forms


1つ目の作品は『Light Forms』。光で作られたイメージが心地よく、見ていて癒やされる感覚もあるふしぎな作品です。まさに言葉にならない感覚がアニメーション化されたような印象を受けます。

2020-12-03

宮崎監督、鳥に「飛び方がまちがってる」とダメ出しする!その気難しさと、そこに隠された深いアニメ論。


スタジオジブリの関係者の方々が口を揃えて言う宮崎駿監督の気難しさ。作品は天才的ですが、どうも同じ仕事をする人としては、付き合うのに相当の根性が必要な人らしいのです。今回は、スタジオジブリのアニメーター・動画チェックとして長年働かれていた舘野仁美さんの著作『エンピツ戦記 - 誰も知らなかったスタジオジブリ』より、宮崎監督の気難しさが分かるエピソードとともに、そこに隠された深いアニメ論をご紹介します。

以下、『エンピツ戦記』より抜粋です。

『魔女の宅急便』(1989年)公開の制作中に。こんなことがありました。
 宮崎作品の醍醐味といえば、なんといっても飛行シーンでしょう。宮崎さんが飛行機に対して格別の思い入れがあることはよく知られていますが、鳥の飛び方へのこだわりも、人一倍強いのでした。
 ほうきに乗って空を飛んでいるヒロイン・キキが雁の群れと出くわすシーン。そのシーンの原画を担当していたのは二木真希子さんですが、ある日、宮崎さんは大声で二木さんを呼びました。
 「どうしてこんなふうに描いたんだ!!前におれが言っただろう」。鳥の飛び方はこうじゃないって!!
 二木さんは反論しようと試みていましたが、厳しい口調でまくし立てる宮崎さんの勢いに気圧されて、黙り込んでしまいました。
 二木さんは実力があって研究心旺盛なアニメーターで、とくに動物や植物の描写には定評のある方です。鳥の生態にも詳しく、傷ついた野鳥を保護して傷が治るまで世話をして、また放野したりするような人です。宮崎さんもそんな二木さんの仕事を高く評価していました。この雁の群れのシーンも、二木さんはきちんと研究した上で、その成果を表現していたのだと思います。

2020-12-02

緻密な映像美、自主制作アニメ『PUPARIA』


今回は、緻密で美しい日本の自主制作アニメーション『PUPARIA』をご紹介します。『PUPARIA』は「ピューパリア」と読むそうで、日本語では「蛹」「蛹殻」といった意味があるそうです。

約2分半ほどのアニメーションは、どういう物語があるのかなどは一切説明もなく、ただ何かがありそうな予感のする映像が美しく、それが圧巻となっています。

2020-12-01

落ち着いた音楽とともに…ディズニー作品の詩的で幻想的なシーンを集めた動画


ディズニー作品の美しいシーンを集めた動画をご紹介します。静かで落ち着いたBGMとともに、詩的で幻想的な映像が次々と現れるさまは、非常に癒やされる時間を与えてくれます。

The Beauty of Disney from Jorge Luengo Ruiz on Vimeo.

2020-11-29

アニメ業界の低賃金の原因は手塚治虫ではない?宮崎駿の手塚治虫批判に対する反論記事


以前、当ブログでは、宮崎駿監督の手塚治虫先生への思いを紹介させていただきました。
そこには、尊敬と影響を認めつつも、アニメに対してやったことは許せないという思いが書かれていました。しかし、これは宮崎駿監督の言い分であり、手塚治虫先生には手塚治虫先生の事情があった可能性が十分にありました。そんな手塚先生側の事情がある限り、それを当ブログとしてご紹介しないのはフェアではないのでは、という思いもありました。

そんな中、現代ビジネスに投稿されたとある記事が、まさにこの宮崎監督の批判について「間違っている」とする反論を載せていおりましたため、今回は、そちらをご紹介してみたいと思います。

その記事は、
「アニメ業界の低賃金は手塚治虫のせいなのか? 見えてきた意外な真実」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/75170?imp=0
という記事で、中川右介さんという方が執筆したものです。

以下、一部抜粋して引用していきます。

宮崎のこのインタビューで問題にすべきは、以下の発言だ。

虫プロのいくつかの作品や手塚の発言を批判した後、宮崎はこう説明する。

〈昭和38年に彼は、一本50万円という安価で日本初のアニメ『鉄腕アトム』を始めました。その前例のおかげで、以来アニメの製作費が常に低いという弊害が生まれました。

それ自体は不幸なはじまりではあったけれど、日本が経済成長を遂げていく過程でテレビアニメーションはいつか始まる運命にあったと思います。引き金を引いたのが、たまたま手塚さんだっただけで。〉

この発言は、最初からすべて間違っている。

だが、それなりに発信力のある宮崎の、没後直後の批判という非礼に満ちた発言は、以後の手塚アニメ批判の土台となった。

手塚治虫先生の死後に書かれた宮崎監督のこの言葉は、ネットでも非常に有名になった言葉です。おそらく、この言葉が非常に影響力を持ったというのは間違いではないでしょう。私も最初にこの言葉を目にした時には、「これは本当の話なのだろう」と思っておりました。
それでは、「最初から間違っている」というのは、具体的にはどの部分が間違っているのでしょう?記事はこう続きます。