2016/01/22

『魔女の宅急便』 どうしてキキはジジの言葉が分からなくなったのか?


魔女の宅急便、途中からジジは人間の言葉を喋らなくなり、結局、最後まで言葉を取り戻すことはありませんでした。キキはどうしてジジの言葉を理解できなくなったのか?いやそれとも、ジジが喋れなくなったのか?」このことについては、「恋をしたから」など、様々な解釈があるようです。

この「なぜなのか?」に関しては、書籍『ジブリの教科書5 魔女の宅急便 (文春ジブリ文庫)』のノンフィクションライターの柳澤健さんによる『ユーミンはもう、キキではなかった』によれば、こうあります。

「宮崎駿監督によれば、ジジは最初からただの猫であり、ジジの言葉とは、要するにキキの内面の言葉だったそうです。」

これは宮崎監督の言葉をそのまま引用したものではなく、宮崎監督の言葉の“伝聞”という形になりますので、完全な根拠とは言い難いかもしれません。しかし、スタジオジブリが編集に関わっている『ジブリの教科書』シリーズに載っているということは、本当にそう発言したと見て良いのではないでしょうか?

そしてもうひとつ、この発言を裏付けるように鈴木プロデューサーも同書の『頭を殴られた一言とプロデューサー洗礼の日々』の中でこのように発言しています。

「あれ(ジジ)はただのペットじゃなくて、もうひとりの自分なんですね。だからジジとの会話っていうのは、自分との対話なんです。ラストでジジとしゃべれなくなるというのは、分身がもういらなくなった、コリコの町でちゃんとやっていけるようになりました、という意味を持っているわけです」

つまり、ジブリ版『魔女の宅急便』のジジが喋らなくなった理由は『ジジの言葉とはキキの内面の言葉であり、キキにとって必要がなくなってしまったため、聞こえなくなった』ということになります。

原作『魔女の宅急便』では?


ところで、これはあくまでジブリ版の話。知っての通り『魔女の宅急便』は、角野栄子さんが書かれた児童文学が原作です。では、その原作ではどうなっているのでしょうか?実はネットでも角野栄子さんのホームページhttp://kiki-jiji.com/hoge/majoからわずかに確認することができます。

角野さんのホームページの『角野栄子が語る各巻の紹介』にある『魔女の宅急便 その5 魔法のとまり木』の項目を見てみると、このようにあります。

そんなある日、ジジの様子が変なのに、キキは気がつきます。いつも二人で話す言葉が通じません。ジジは「にゃごにゃご」というばかりです。まるで普通の猫みたい。
「ぼくにゃあ、おとなの猫言葉を勉強するんにゃあ」
こんなことをいうのです。ジジが変わってしまったわけは、恋。
キキと違う情熱的な恋が始まっていたのです。 これでは生まれたときからずっと一緒だった、キキとジジの魔女猫言葉がきえてしまうかもしれません。
キキの飛ぶ魔法もおかしくなってきました。消えてしまったというわけでもないのに、やっぱり魔法もちゅうぶらりんなのです。 二十歳を目前に、キキの心はゆれ動いています。ちょっと気になる芸術家の登場もキキの心を乱します。

そう、原作でもジジは喋らなくなっているのです。理由は「恋をしたから」。恋をしたことによって、自らの意志で人間の言葉を捨てようとしているのです。ただし、この『魔女の宅急便 その5 魔法のとまり木』のエピソードは、ジブリ版よりも後に書かれたものです。そして実はその先を読んでみると、ジジもこのまま言葉を話さなくなったわけではなく、その後もキキたちとコミュニケーションを取っています。原作版では、ジジの声はキキの心の声ではないのです。

ということで、キキはどうしてジジの言葉が分からなくなったのか?という理由は、ジブリ版では「キキの心の声だったから必要なくなった」、原作版では「恋をしたから(ただし一時的なもの)」というわけでした。

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