2021-04-09

スタジオジブリは『魔女の宅急便』の後に解散する予定だった


言わずと知れた名作、スタジオジブリ版『魔女の宅急便』ですが、実はこの『魔女の宅急便』の後に、ジブリは解散するという予定がありました。


書籍『ジブリの教科書5 魔女の宅急便』によると、このような経緯だったそうです。

 大ヒットとなった『魔女の宅急便』だが、宮崎はこの映画の完成後、スタジオジブリを解散する心づもりをしていたという。宮崎の持論の一つに「一スタジオで制作できるのは三作品が限度」というものがある。ある程度定まったスタッフでそれ以上制作を続けると、必ず無理がでるという考えだ。一方、鈴木は「せっかくここまで作ったのだから、もう少し続けたい」と考えた。鈴木と宮崎は話し合いを行い、最終的にスタジオジブリを継続することになった。
 そこで宮崎が提案したのが、新人の育成。これまでは一作ごとに解散する方法で制作リスクは低いものの、新人を育てるような体制ではなかった。
 その宮崎の提案を受けて、鈴木はスタッフの給与倍増をさらに提案した。というのも、ヒットした『魔女の宅急便』だったが、完成後スタッフの給料が問題になっていたのだ。

(中略)

 こうして、ジブリ設立当初の「一本ごとに解散」という方針は大きく転換。
 ①スタッフの社員化、および固定給制度の導入。資金倍増を目指す。
 ②新人定期採用とその育成。
 という新たな経営方針の下、スタジオジブリは定期的に作品を制作していくことになる。

2021-04-02

『耳をすませば』の絵コンテから分かること。天沢くんの父親はここに出ている!


ジブリの絵コンテから分かること、今回は『耳をすませば』です。『耳をすませば』は、ご存知の通り、雫と天沢くんが中心となって動く物語ですが、特に天沢くんのご両親が出てきたという記憶はありません。しかし、よく見ると父親だけは登場しているのです!今回は、その登場シーンを絵コンテを交えてご紹介したいと思います。


それは物語が30分を過ぎた頃、雫が職員室で先生に本の寄贈主を聞きに行った時。

その寄贈主が天沢聖司の親だと分かって驚愕した雫。
 

2021-01-01

作って、作って、最後は…食べる!ジブリの食事シーンを集めた動画!


今回は、ジブリ作品の食事を作っているシーン&食べるシーンだけを編集した動画をご紹介します。以前にも似たような動画をご紹介したことがあるのですが(参照:https://flying-fantasy-garden.blogspot.com/2017/03/blog-post_11.html、今回の動画は作るシーンと食べるシーンが明確に分かれており、より作るシーンに力を入れた編集内容になっています。

2020-12-04

言葉にならない感覚を作品にしたような、マルコム・サザーランドの実験的アニメーション


今回は、アニメーション作家のマルコムサザーランド氏の作品を3つご紹介します。彼の作品は、聴覚や触覚から受ける感覚がそのままアニメーションになったような、言葉にならない感覚をアニメーションにしたようなものになっています。どこか感覚がくすぐられる感じが心地よく、物語はないけれど見入ってしまうのが特徴です。ですので、なるべく音を聞きながらご覧になっていただきたい作品です。どこかノーラン・マクラレンの作品に近い印象も受けます。


Light Forms


1つ目の作品は『Light Forms』。光で作られたイメージが心地よく、見ていて癒やされる感覚もあるふしぎな作品です。まさに言葉にならない感覚がアニメーション化されたような印象を受けます。

2020-12-03

宮崎監督、鳥に「飛び方がまちがってる」とダメ出しする!その気難しさと、そこに隠された深いアニメ論。


スタジオジブリの関係者の方々が口を揃えて言う宮崎駿監督の気難しさ。作品は天才的ですが、どうも同じ仕事をする人としては、付き合うのに相当の根性が必要な人らしいのです。今回は、スタジオジブリのアニメーター・動画チェックとして長年働かれていた舘野仁美さんの著作『エンピツ戦記 - 誰も知らなかったスタジオジブリ』より、宮崎監督の気難しさが分かるエピソードとともに、そこに隠された深いアニメ論をご紹介します。

以下、『エンピツ戦記』より抜粋です。

『魔女の宅急便』(1989年)公開の制作中に。こんなことがありました。
 宮崎作品の醍醐味といえば、なんといっても飛行シーンでしょう。宮崎さんが飛行機に対して格別の思い入れがあることはよく知られていますが、鳥の飛び方へのこだわりも、人一倍強いのでした。
 ほうきに乗って空を飛んでいるヒロイン・キキが雁の群れと出くわすシーン。そのシーンの原画を担当していたのは二木真希子さんですが、ある日、宮崎さんは大声で二木さんを呼びました。
 「どうしてこんなふうに描いたんだ!!前におれが言っただろう」。鳥の飛び方はこうじゃないって!!
 二木さんは反論しようと試みていましたが、厳しい口調でまくし立てる宮崎さんの勢いに気圧されて、黙り込んでしまいました。
 二木さんは実力があって研究心旺盛なアニメーターで、とくに動物や植物の描写には定評のある方です。鳥の生態にも詳しく、傷ついた野鳥を保護して傷が治るまで世話をして、また放野したりするような人です。宮崎さんもそんな二木さんの仕事を高く評価していました。この雁の群れのシーンも、二木さんはきちんと研究した上で、その成果を表現していたのだと思います。