今回は、書籍『THE ART OF TOTORO』に収録されている、宮崎監督が描いた『となりのトトロ』のイメージボードから、トトロの住み家の絵をご紹介します。
住み家を見ていて気づかれましたでしょうか?そう、映画の中にあるような緑あふれる住み家ではなく、大木をくり抜いて作られた、なんだか可愛らしくてスッキリした住み家になっています。イメージボードの頃のトトロの家はこうなっていたのです。しめ縄が部屋の中に置かれているのもポイントです。やはりトトロは「カミ」あるいは「神聖な生き物」なのですね。
これがどうして映画では緑あふれる住み家になっていたのか?書籍『THE ART OF TOTORO』にある男鹿和雄さんの言葉によると、こうあります。
「最初は、木をくり抜いた、木肌の洞窟で行くはずだったんですけど、どう描いてもうまくいかないんです。宮崎さんが考えていたのは、民芸品のような木をくり抜いて作った部屋みたいな、きれいな洞窟だったんです。でも、木をきれいに描くと木目なんかもきっちり描いて、どうしても新建材になってしまうんですね。『じゃあ、これはやめよう』ということになって、代りに苔なんかあったらいいんじゃない、ということになったんです。でも苔というと湿り気があるでしょう。そうすると、トトロが住みたい気分にならないだろうから、湿気を感じさせないように中を全部明るくして、きれいな花もいっぱい咲かせて、ここは別世界ということにしてしまいましょう、ということでああいう風になったんです」
新建材に見えてしまうから、という理由で緑あふれる“別世界”という設定に変更されたということですが、個人的には、この“別世界”というフレーズがなんだかファンタジーでいい響きなので、この変化はあながち悪くないかな?と思います。でも木をくり抜いてできた住み家も、可愛げがあってオシャレな雰囲気がいいですね。こちらは“秘密基地”のような感じがあると思います。
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