2023-08-27

ジュール・ベルヌとスチームパンクとファンタジーの美しい融合、アレックス・アリスのアート


フランスのバンド・デシネ作家でありイラストレーターであるアレックス・アリスのアートをご紹介します。彼は『星々の城』という作品を描いており、この作品は1巻のみ邦訳もされておりますが、ご紹介するのは主にその『星々の城』を中心としたアートです。

彼のアートは『星々の城』を読んでいなくても十分魅力的であり、ジュール・ベルヌのSF作品とスチームパンクとファンタジーを融合したようなアートは見る者を惹きつけます。



2023-08-19

静かな夜、穏やかな光、囁かれる異国の言葉。外山光男さんの「映像詩」なアニメーション


アニメーション作家である外山光男さんがインスタグラムにアップロードしている短編アニメーションをご紹介します。

外山さんのアニメーションは以前このブログでもご紹介しましたが【静かな光を慈しむように…外山光男さんのアニメーションによるミュージックビデオ集】、静かで穏やかな雰囲気と、闇の中で暖かく瞬く光の表現が特徴的ですが、インスタグラムに投稿されている短いアニメーションもそのような特徴がありつつ、特に、夜、虫の音、月、ウサギ、囁くような架空の言語が多用されています。

派手さや鮮やかさではなく、静けさと癒やしを与えてくれるアニメーションですので、落ち着きたい気分の時はピッタリのアニメーションです。


2023-08-06

To those who come to my blog from overseas: misconceptions about Japan's war as visualized by "Barbenheimer"


For the first time, I am going to write a very special blog for people coming from overseas.

First of all, I would like to express my sincere gratitude to those who come to this blog from various countries overseas, even though it is written in Japanese.

I assume that you come to this blog because it is written about studio Ghibli, and I hope that the translation function is working properly.


Now, I would like to tell you about an issue that is causing great anger and sadness in Japan today: the countless images of "Barbenheimer," which is the joke that combines the American movie "Barbie" and "Oppenheimer".

These are images that stir up so much anger and sadness for the Japanese that I won't even post them on my blog. It has become a big problem, especially since Barbie's account on Twitter, now X, has responded that it enjoys them.

In response, people overseas have said that the Japanese have no right to be offended by this. I'd like to give my opinion on this.

2023-07-29

話題のアニメーション映画『オオカミの家』のレオン&コシーニャが制作した不気味で不安を掻き立てる短編アニメーション『ルシア/ルイス』


『ミッドサマー』の監督であるアリ・アスターが絶賛したという触れ込みのもと、予告編で既に不気味で異常な世界が話題となっている、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャによるストップモーション・アニメーション映画『オオカミの家』。



その予告編がこちら。

【公式サイトはこちら】


8月19日より順次全国公開される注目作ですが、今回は、この作品の監督であるレオン&コシーニャがナイルズ・アタラーと共に制作し、2007年と2008年に公開した短編アニメーション『ルシア/ルイス』をご紹介します。

2023-07-21

知っておけば宮崎アニメがよく理解できるようになる、『もののけ姫』のインタビューで語っていた宮崎監督の言葉


今回は、雑誌『別冊COMIC BOX vol.2 「もののけ姫」を読み解く』に収録されている、宮崎監督のインタビューから、現在の私たちにとっても非常に重要で、かつ宮崎監督の思想がよく分かる部分を抜粋してご紹介します。これらは『君たちはどう生きるか』やコミック版のナウシカとも通底している宮崎監督の考え方ですので、知っておくと「宮崎アニメ」をより理解しやすくなるものとなっています。









以下、『もののけ姫』について語りながら、宮崎監督の思想がよく分かる部分を抜粋していきます。

――別々の文化が並立して存在することや、別々の文化であっても共通性があるという認識がこの映画にあると思います。そういう映画をつくるにあたって、現代に向けてのメッセージは。

宮崎  全然ないです。
 メッセージで僕は映画を作りませんから。
 ただ、この映画が現代に共通する点があるとしたら、それは、自然と人間との関わり合いだと思います。
 僕らは、「自然に優しい」とか、「宇宙船地球号」などと一言も言った事はないんです。「自然に優しい映画を作るジブリ」というブランドがかってに横行するようになって、それが嫌なのですよ。
 そう誤解されても、しようがないと思わざるを得ないのですけれど、この十数年、とにかく色々と作品を作ってきて、この大きな転換点にきているのに、「自然に優しいジブリ」で終りたくなかったのです。
 だから、自然と人間との関わり合いをもっと突き詰めて追求して行く。すると、人間のやってきた事の業というか、文明の本質にある攻撃性とかが見えてくる。散々、相手を痛めつけて、おとなしくさせてしまってから、「周りに残った者に優しくしよう」と言っているに過ぎないんです。
 文明の本質みたいなことをちゃんと描かないで、「優しくする人、よい人」「優しくしない人、悪い人」という考え方で切り捨てていくのは、間違いだと思います。
 優しかろうが、優しくなかろうが、人間は自然に対して極めて狂暴に振る舞ってきたんです。
 それで、自分達が選ばれた者であるとか、この人類が一番高等な生き物であるとか言い出す。 ある時には、人類の中のある部分が一番高等だと順番をつけたがる。
 今また、「優しくする人、よい人」「優しくしない人、悪い人」という判断の単純化が進んでいる。そんなものではないんです。よいとか悪いとかでなくて。

 こういう人間の本質みたいなものを据えた、自然と人間との関わり合いを描く映画を作りたいと思っています。 それはメッセージというものでもなく、自分自身に回答が出ていないから、甚だ迷走しながら映画を作ったんです。
 この映画は、「悪い人間が森を焼き払うから正しい人がそれを止めた」という映画ではないのです。
 よい人間が森を焼き払う。それをどう受け止めるかなんです。