世の中にはジブリ作品に関する書籍がいくつも出ていますが、「どの書籍にどんな内容が入っているのかわからない!」という方もいらっしゃるかと思います。(実際にそういうご意見を頂きました、ありがとうございます!)そこで今回は、主要なジブリ作品の資料本がどんな内容になっているのか?それを解説してみます。客観的な視点を欠いている可能性がありますが、その点はご容赦ください。
『ロマンアルバム』シリーズ
ある意味で一番スタンダードな“基本資料”と言えるのがこの『ロマンアルバム』シリーズです。収録されているのは、作品のあらすじ・名場面、キャラクターや世界の設定・用語解説、監督・スタッフへのインタビュー、作品にインスピレーションを与えた場所や作品の紹介などです。
要するに各情報が広く収録されているため、これを読むだけで作品への理解度がグッと深まり、さらに面白く作品が観られる一冊です。そして、この中から意外な裏話や雑学・豆知識が手に入ることが多い!
たとえばロマンアルバムを読めばこんな情報が得られます。【『天空の城ラピュタ』 ドーラ一家の裏設定!】
“基本”とも言えるロマンアルバムですが、一方でアートやレイアウトは少なめとも言えます。また、一部ロマンアルバムが存在しない作品もあります。
『THE ART』シリーズ
その名の通り、アート・イラストに特化したシリーズです。貴重な監督本人の描いたイラスト、イメージボードを中心に、美術ボード、背景、セルなどが収録されており、「とにかくジブリの絵を見たい!」という方にはピッタリなシリーズです。
絵の美しさを堪能できるのはもちろん、特に宮崎監督やスタッフの方々が描いたイメージボード必見で、まだキャラクターが完成する前の初期案が見られるというのがポイント。ひとつのキャラクターが作られていく制作過程が垣間見れ、初期のイメージと完成形の比較ができるという面白さが味わえるのです。
ジブリ文春文庫
主に監督やスタッフへのインタビュー、当時の制作現場の状況、各知識人による作品の解釈が掲載されており、読み応えのある文章が中心となっているシリーズです。ロマンアルバムと重複している資料もありますが、当時のアニメージュに載っていたインタビューなど、現在では入手しにくい資料からの掲載や、ここでしか見られない考察や解釈が読めるという意味でも貴重な一冊です。
個人的な印象ですが、作品によっては、この知識人による作品の解釈や作品に関連した雑学(例えば魔女の宅急便ならば、魔女に関する雑学)が相当面白いものになっており、これだけでも読む価値があると言えます。
たとえば『ジブリ文春文庫』を読めばこんな情報が得られます。【『魔女の宅急便』の裏設定、おソノさんは元○○だった!】
スタジオジブリ絵コンテ全集
個人的なオススメがこちら。その名の通り、ジブリ作品の絵コンテを書籍化したものです。最大の特徴は、ジブリ映画をそのままコミック化した本のように読むことができるという点で、特に宮崎監督の作品はほとんどがご本人によって描かれており、映像本編では表わされることのないキャラクターの心情や、面白い裏設定が載っていることが多いため、「ジブリ作品がマンガで読める」という読み方以上の情報が得られるという非常にオイシイ書籍となっております。
絵コンテ集であるため、絵コンテに付属しているアニメ用語も勉強になりますし、また現在では付いていないこともあるらしいのですが、作品解説などが載った小冊子も併録されてあり、こちらも読み応えがあります。
たとえば絵コンテ全集を読むとこんな情報が得られます。【トトロが何と言っていたのかが分かった! ~ジブリの絵コンテ集から分かること~】
スタジオジブリ作品関連資料集
ジブリ作品の周辺資料、つまり企画原案、制作レポート、オリジナルイラスト、初公開の内部資料から、ポスター、チラシ、パンフレット、プレスキット、紹介記事の再録、関連出版物まで、貴重な資料を網羅した資料集です。残念ながら『耳をすませば』までで刊行が止まってしまいましたが、上記のようなレア性が非常に高い資料がたくさん収録されているため、まさに“資料性の高い”あなどれないシリーズとなっています。
特に監督による企画覚書や主題歌歌詞、作品の初期シナリオは垂涎モノだと思います。ちなみに“ラピュタ幻のエンディング”の噂の元になったと思われる画像(こちらを参照)も、この資料集で見ることができます。
以上、5つのシリーズを解説させていただきましたが、他にも、ふゅーじょんぷろだくとの『別冊 COMIC BOX』シリーズや『アニメージュ文庫』、宮崎監督・高畑監督のインタビュー集や鈴木敏夫プロデューサーの著書、コミック版ナウシカなどなど、他にも読むべきジブリ関連本はたくさんあります!皆さん、一緒に勉強していきましょう!
【こちらも併せてどうぞ】
ジブリが好きなら絶対読むべき!宮崎駿の描いた絵物語『シュナの旅』
宮崎駿作品の主要スタッフが描いた絵物語『世界の真ん中の木』
宮崎監督、自分が描いた水彩画集へのコメントが正直すぎて面白い!