映画版『風の谷のナウシカ』の豆知識。
スタジオジブリプロデューサー・鈴木敏夫氏がパーソナリティを務める、TOKYO FMなどで放送している「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」から。映画版ナウシカでは巨神兵のシーンを担当し、宮崎駿氏を「師匠の一人」と公言する庵野秀明氏がゲストに来た回の、非常に面白いナウシカの裏話を抜粋して書きおこしました。
以下、一部を書き起こし。
鈴木敏夫「でも…ラストシーンはナウシカ良かったんですかね?あれで。」
庵野秀明「映画はあれで良かったと思いますけど。」
鈴木「宮さんの最初の案は、とにかく、王蟲が突進してきて、そこへ降り立つナウシカ。で、いきなりエンドマーク。それで、王蟲の突進は止まると……これ困ったんですよ。」
庵野「いや、轢かれないと困るでしょうね。」
鈴木「だから…延々ね、僕ね、それこそ最後のほうコンテが出来たとき、高畑さんとふたりで、阿佐ヶ谷の喫茶店で、8時間くらい、色々話したんですよ。『これで行くのか、行かないのか』って(笑)。それでとにかく、現状は”今ある案”、2つ目が“ナウシカが死んで、伝説の人になる”、で3つ目がね…“死んだあと、よみがえる”っていう(笑)。ほいで最後さ、高畑さんがね、『鈴木さん、どれが好きですか?』って(笑)。」
(一同笑い)
女性の声「好き・嫌いになった。」
鈴木「そりゃやっぱり甦ったら良いんじゃないですかねえ?つって(笑)。『じゃあ』つってね、ふたりで、高畑さんと、宮さんのとこに言いに行くんですよね。(宮さんは)いやあ~判断が早くて。『ふたりで決めたんでしょ!じゃあそうします!』って。……考えないんだよね。」
庵野「ええ。」
庵野「あー、あのとき見せてもらったあの、巨神兵と、この…王蟲が、戦うのは…見たかったですね。」
鈴木「(笑)」
庵野「アレかっこ良かったですよね。まあ巨神兵は大変でしたよ。僕も全然、それは描けなかったと思いますよ、あのコンテのままだったら。」
鈴木「でも…」
庵野「見たかったですけどね。」
鈴木「でもあの巨神兵は凄かったよね。」
庵野「まあ、宮さんだったから出来たんですね。」
※この回のポッドキャストはこちら。(書きおこした部分は10分55秒頃からです。)他にも、ナウシカ続編の構想についてなど、おもしろ発言満載です。
http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol120.mp3
さらに庵野氏は、『庵野秀明監督「アニメーターの技術は、今でも『オネアミスの翼』が最高峰」と断言 - 自らのキャリアを語る』でのインタビューでこう言っていました。以下、一部抜粋。
(前省略)宮さんが最初に描いていたコンテが実によかったんですよ。巨神兵は溶けてなくて、王蟲の群れの中に入って、ちぎっては投げちぎっては投げしているんです。だけど最後は王蟲の数に潰されてしまう。これはかっこいいけど大変だな、自分に描けるかなと思っていたところ、(納期までの)時間がなくなったんですね。それで宮さんが上げてきたのが、巨神兵が溶けている絵で、一発撃って自滅してしまうんです。映画の尺もないからと説得されて、渋々納得しました」
【こちらも併せてどうぞ】
『風の谷のナウシカ』豆知識:映画版の巨神兵は当初クロトワが○○する予定だった!
『風の谷のナウシカ』 年々変化していく巨神兵の姿を追ってみた!
宮崎駿が飛行船のデザインを担当したCMがあった!