今回は、アニメーション映画プロデューサーの石井朋彦さんによる『君たちはどう生きるか』制作時に起こった、宮﨑監督のやり取りから見える監督の飽くなき探究心をご紹介します。
引用するのは、ログミーBusinessというサイトの『宮崎駿監督が「誰も見たことがない世界」を生み出せる理由 「宮崎さんって、昼寝している時に子どもの時に戻っているらしいんです」』というインタビューからです。
以下、その部分を抜粋してご紹介します。
石井:これはどこにも言っていないけど、今思い出した。『君たちはどう生きるか』の制作中に、別にお恥ずかしいって言っちゃいけないけど、コロナにかかったんですよ。しかもかなり初期の、まだ世の中がコロナがよくわからなかった時。
(中略)
石井:当時……新宿だったかな。アパホテルに隔離されるわけですよね。「10日間、これで安心だ。もうこれでうつさなくて済む」と。そうしたら携帯が鳴ったんですが、宮崎さんからなんですよ(笑)。「あっ、宮崎さんだ!」と思って。
工藤:(電話がかかってくることは)そんなにないわけですよね。
石井:たまにありましたけど、ないですね。それに出たら、うれしそうに「どう?」って言うんですよ。
工藤:「どう?」(笑)。
石井:(笑)。好奇心いっぱいなんですよ。つまり、社内で2人目か3人目のコロナで、しかも石井が今はホテルに隔離されているらしいと。「今、僕はたぶん6畳ぐらいのビジネスホテルの部屋にいます」と。
工藤:(笑)。なるほど。まず、そうやってお話しするんですね。
石井:そう。つまり、「いや、つらいです」とか……。
工藤:そうじゃないんだ。おもしろい。
石井:「大変です」とか、そんなことを宮崎さんは聞きたいわけじゃないんです。
工藤:聞きたいわけじゃないんですか(笑)?
石井:そうそう。いかに僕がいる場所がどうなっているかを知りたいわけです。だけど、なかなか表に出られないんですよ。「窓はちょっとしか開かないですね」とか。
工藤:(笑)。