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2018-10-10

高畑監督、『かぐや姫の物語』のキャッチコピーについて怒っていた。


人間誰しも完璧ではありません。「天才」と呼ばれる人もどこか欠けているとよく言われます。特に、故・高畑勲監督はクセの強い人だったようです。今回は、高畑監督の気難しい一面、キャッチコピーを巡る鈴木プロデューサーとのやり取りを、書籍『ジブリの教科書19 かぐや姫の物語』で鈴木プロデューサー自身が語っておりましたので、ご紹介します。

 宣伝をめぐっては、キャッチコピーでも揉めることになりました。僕が考えたコピー は「姫の犯した罪と罰。」というものです。高畑さんが最初に書いた企画書にも書いて ありましたし、そもそも原作のテーマでもある。それ以外にはないだろうと考えていま した。ところが、高畑さんに見せるや、また顔色が変わった。そして不機嫌そうに、 「最初にそう考えたのは事実です。でも、そのテーマはやめたんですよ」と言います。
 高畑さんは宣伝コピーに対しても、独自の一貫した方針を持っています。「作品につ いて間違ったことを言っていなければそれでいい」というものです。それに照らして言 うと、「罪と罰」はやりたかったテーマだけれど、実際にはできなかったことだから、 間違ったコピーになるというわけです。 「そう言われたらしょうがない。新しいコピー案を作って持っていきました。そちらは間違っていないということで認めてくれたんですが、僕も腹の虫が収まらなかったんでしょうね。「これなら問題がないというのはよく分かりましたけど、関係者に評判がい いのは『罪と罰』のほうなんですよね」と言ってしまったんです。そうしたら、高畑さんは不愉快そうに、「分かりました。もういいです。勝手にやってください」と言いました。


2017-02-10

これは…愛?宮崎駿、『かぐや姫の物語』の翁を描く→断られる


宮崎駿さん、自分が監督でない時にもたびたび顔をだすようです。マーニーのときも現れ、色々と口を出しては断られていた(笑)ようですが【参照:「舞台は瀬戸内」宮崎駿、『思い出のマーニー』にやっぱり口を出していた&無視されていた!、どうやら高畑監督の『かぐや姫の物語』にも口を出していたそうです。

今回は、スタジオポノックのLINEブログから、そのエピソードをご紹介します。(初出はauスマートパス会員向けサイト「ジブリの森」)

2015-03-13

せつない…『かぐや姫の物語』 捨丸兄ちゃん夫妻のほろ苦い大人の関係


ジブリの絵コンテから分かること。今回は『かぐや姫の物語』の絵コンテから見えた、微妙な心の機微、ともいうべき大人の男女関係をご紹介します。

…物語は終盤。かぐや姫は御門に抱きしめられ、「もうここにはいたくない」と心で願ってしまったため、記憶を取り戻し、月に帰らねばならなくなった。思い悩む姫を見た媼は彼女を案じ、かつての翁の家へと戻らせる。

そこには捨丸も戻ってきていた。

かぐや姫が近くにいることを感じた捨丸…そして再会する二人。

2015-01-24

『かぐや姫の物語』で描かれなかった前日譚「かぐや姫はなぜ地球に降ろされたのか?」


高畑勲監督の『かぐや姫の物語』における大きな謎、「かぐや姫はなぜ地球に降ろされたのか?地上に降りる前に何があったのか?」

この謎は、作品中のかぐや姫の言葉から何となく想像できます。しかし事細かには語られていません。これは高畑監督が地球に降りる前の出来事は「想像して欲しい」という理由から、「出発前の月の場面は要らない、いや、ない方がずっと良い」と判断したからです。

ですが、映画パンフレット、または『ロマンアルバムエクストラ かぐや姫の物語』に収録されている『企画「かぐや姫の物語」』には、「かぐや姫はなぜ地球に降ろされたのか?地上に降りる前に何があったのか?」が詳細に書かれているのです。今回はそちらをご紹介します。以下、当該部分の抜粋です。

2015-01-04

『かぐや姫の物語』 クライマックスの明るい曲の秘密はサンバにあった!


DVD、ブルーレイも発売・レンタルされ、既にご覧になった方も増えてきたであろう『かぐや姫の物語』。

クライマックスでは、広く知られている「かぐや姫」の展開通り、月から天人がかぐや姫を迎えにやってきます。このシーンが強く印象に残っている方は非常に多いのではないでしょうか?

2014-03-25

ジブリの広報誌『熱風』3月号 「追悼 フレデリック・バックさん」


毎月十日発行のスタジオジブリ広報誌『熱風』。
3月号は「追悼 フレデリック・バックさん」です。
http://www.ghibli.jp/shuppan/


この小冊子『熱風』は無料で配布されている非売品ですが、取り扱っている書店は全国でも限られています。(参照: http://www.ghibli.jp/shuppan/np/007496/
あとは定期購読するという手があるのですが、(参照: http://www.ghibli.jp/shuppan/np/007495/)興味のある号だけ読みたい方にはやや難儀といえるでしょう。

3月号はフレデリック・バックさんを追悼した号であり、非常に貴重な一冊と言えます。

2014-01-15

『笑ってコラえて!』のフレデリック・バック氏と高畑勲氏の最後の出会いに関する補足情報


フレデリック・バック氏が亡くなる8日前、高畑監督は、『かぐや姫の物語』を彼に観てもらうことが叶っていた様子が、『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』で放送されました。これがお二人の最後の出会いでした。その時の状況に関する補足情報です。(二人の関係をご存じでない方は、まずはこちらを是非ご覧ください。

※以下、番組を観ていない方のために、放送された内容を簡略に記します。

2013年12月、フレデリック・バック氏に『かぐや姫の物語』を観てもらうため、カナダへ向かった高畑勲氏。移動中の車内で「(かぐや姫の物語は)バックさんに啓発されて作ってる作品なんだから、もうバックさんに是非観て頂きたいということをずっと言い続けておったわけです。」「喜んでいただけるんじゃないかって、まあ信じてるんですけどね。」と嬉しそうに話す。

この日のバック氏は、重い病気を患っているが小康状態であったため、作品を観てもらうことが可能であった。ただし体調を考慮して、6分間の予告編だけを観てもらうことに。

再会を喜ぶ二人。バック氏は『クラック!』のラストカットの原画を高畑氏にプレゼントする。

そして予告編が上映される。バック氏は「キレイだ。素晴らしい。」「デッサンの軽やかさ、そして空白、描かれていない空間の素晴らしさ」と賛辞を贈る。しかしバック氏は「できればもう少し観たいな」とさらなる鑑賞を希望。本編を上映することに。

本編が始まると、バック氏は「本当に観られて嬉しいよ。この作品は私の長年の夢がかなったようなものでもあるから」と語る。いつしか二人は手を取り合いながら観ていた。

鑑賞後、「本当にどうもありがとうございました」と感謝する高畑氏に、バック氏は「あなたは才能ある人たち恵まれている。」「大好きな高畑さん、心からありがとう。特別なお土産になりました。私にとっても世の中にとっても。」と賛辞を贈り、「ブラボー」と締めくくった。 (この時高畑氏はおそらく涙ぐんでいた様子)

この8日後、2013年12月24日、フレデリック・バック氏はこの世を去った。



そしてこの特集の補足情報。例によって映像研究家の叶 精二さんのツイートからです。

2014-01-07

『あまちゃん』が『かぐや姫の物語』に意外な影響を与えていた!


NHK連続テレビ小説「あまちゃん」。

「じぇじぇじぇ」が流行語にもなり、2013年の話題をかっさらいましたね。紅白歌合戦でもサプライズな演出があり、多くのファンを感動させました。

そんなあまちゃんがジブリの映画『かぐや姫の物語』に、意外な影響を与えていたことが判明。

映像研究家、叶 精二さんのツイートより。

2013-12-26

高畑勲が師と仰ぐアニメーション界の至宝、フレデリック・バック


残念です。偉大なアニメーション作家、フレデリック・バック氏が12月24日に亡くなられたそうです。(http://touch.latimes.com/#section/-1/article/p2p-78651427/)ガンが原因とのこと。89才でした。

フレデリック・バック


アニメーション界の至宝。
1982年に『クラック!』、1988年に『木を植えた男』で、アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞。1作につき、数万枚の原画をほとんど1人で描き上げるという、途方もない手仕事を行う。

『木を植えた男』の場合、5年半の歳月をかけ、2万枚の原画をほとんど独りで描き上げた。製作中、スプレーが目に入ってしまい失明。(写真、右目のメガネが濁っているのはそのせい)それでも作品を作り続け、左目しか見えない状態で『木を植えた男』を完成させ、アカデミー賞を受賞した。

バック作品を貫くのは自然への愛と、環境保護のメッセージ。かつてインタビューで「私がアニメで作品を作ったのは理由があります。地球環境保護のために何かの役に立ちたかったからです」と語った通り、強いメッセージを込めた作品作りは最後まで揺るぎないものだった。


■代表作:木を植えた男
羊飼いのエルゼアール・ブッフィエは、たった一人で荒地に木を植え続けていた。ブッフィエの無償の行為は、不毛の地に緑をしたたらせ、生命の輝きに満ちた場所に甦らせた。ジャン・ジオノの原作に感銘を受けたバックが、5年半の歳月をかけ、2万枚におよぶ作画作業の大半を一人でこなして作り上げた代表作。また、コンピュータ制御の撮影台を使い、より高度で複雑なカメラワークを見せている。前作に続きアカデミー賞短編アニメーション部門受賞。そして、この映画に感動した人々による植樹運動が世界中に広がりを見せた。


■代表作②:クラック!
フレデリック・バックの長女、スーゼルのアイデアをもとに、一脚のロッキングチェアが辿る運命を通じて、失われつつあるケベックの伝統的な生活や文化、家族愛、自然への共感、現代文明批判などをユーモラスに描く。アカデミー賞短編アニメーション部門受賞。


■バック氏の手法
バック氏は10×15cmという非常に小さなサイズの上にアニメーションを描き、ツヤ消しのアセテートフィルム(セル)に色鉛筆でスケッチ風に描くというスタイルをとっています。(※アセテートフィルム:透明度、強度に優れ、無伸縮。水、油、熱に強い特性を持ったフィルム。セル画アニメーション用、及び絵画など美術作品のコーテイング・保護、一般画材用など に使う。)