人間誰しも完璧ではありません。「天才」と呼ばれる人もどこか欠けているとよく言われます。特に、故・高畑勲監督はクセの強い人だったようです。今回は、高畑監督の気難しい一面、キャッチコピーを巡る鈴木プロデューサーとのやり取りを、書籍『ジブリの教科書19 かぐや姫の物語』で鈴木プロデューサー自身が語っておりましたので、ご紹介します。
宣伝をめぐっては、キャッチコピーでも揉めることになりました。僕が考えたコピー は「姫の犯した罪と罰。」というものです。高畑さんが最初に書いた企画書にも書いて ありましたし、そもそも原作のテーマでもある。それ以外にはないだろうと考えていま した。ところが、高畑さんに見せるや、また顔色が変わった。そして不機嫌そうに、 「最初にそう考えたのは事実です。でも、そのテーマはやめたんですよ」と言います。
高畑さんは宣伝コピーに対しても、独自の一貫した方針を持っています。「作品につ いて間違ったことを言っていなければそれでいい」というものです。それに照らして言 うと、「罪と罰」はやりたかったテーマだけれど、実際にはできなかったことだから、 間違ったコピーになるというわけです。 「そう言われたらしょうがない。新しいコピー案を作って持っていきました。そちらは間違っていないということで認めてくれたんですが、僕も腹の虫が収まらなかったんでしょうね。「これなら問題がないというのはよく分かりましたけど、関係者に評判がい いのは『罪と罰』のほうなんですよね」と言ってしまったんです。そうしたら、高畑さんは不愉快そうに、「分かりました。もういいです。勝手にやってください」と言いました。
高畑さんは宣伝コピーに対しても、独自の一貫した方針を持っています。「作品につ いて間違ったことを言っていなければそれでいい」というものです。それに照らして言 うと、「罪と罰」はやりたかったテーマだけれど、実際にはできなかったことだから、 間違ったコピーになるというわけです。 「そう言われたらしょうがない。新しいコピー案を作って持っていきました。そちらは間違っていないということで認めてくれたんですが、僕も腹の虫が収まらなかったんでしょうね。「これなら問題がないというのはよく分かりましたけど、関係者に評判がい いのは『罪と罰』のほうなんですよね」と言ってしまったんです。そうしたら、高畑さんは不愉快そうに、「分かりました。もういいです。勝手にやってください」と言いました。