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2024-02-04

貴重です。『魔女の宅急便』の原作者、角野栄子さんが語ったジブリ版『魔女の宅急便』への思い


今年の1月、日本テレビ系列で放送中の番組『世界一受けたい授業』に、『魔女の宅急便』の原作者である児童作家の角野栄子さんが出演し、ジブリの魔女の宅急便に関連した非常に面白い話をたくさんされておりました。

しかし、この番組をご覧になれなかった方もいらっしゃると思いますので、今回は角野栄子さんが語ったジブリの魔女の宅急便との関わりのある部分を抜粋してご紹介します。



キキとジジの名前の由来



まず最初に、タレントさんに「キキとジジの名前ってどうやって決めたのですか?」と聞かれた角野さんは、このように答えておりました。※括弧は私が補足したものです。

私ブラジルに居ましてね、そのとき仲の良い男の絵描きさんがいたんですけど、「ジョジョ」っていう名前だったの。

それでね「ジョジョ」って言うとちょっと(発音する時に)詰まるので、「ジジ」にしたの。

で、ジジの名前が最初に決まったので、(主人公の名前も)言葉が繋がってるものにしたいと思ったのね。それで「あいうえおの表」を見て「アア」とか、「イイ」とかやって、「キキ」となった時に「ああ、これだ」って思った。

2023-05-27

【ちょっと残念かも】宮崎監督はジブリ版『魔女の宅急便』のキキとトンボが恋仲になったとは思っていない。


ジブリ版『魔女の宅急便』、観終わったあとに、皆さんはキキとトンボの関係はどうなったと思いましたか?


多くの方は、その後二人は恋人同士になったのだと思ったのではないでしょうか?私もそう思いました。実際に、原作小説ではキキとトンボは結婚し、子供も生まれます。ですから、やはり映画版でも二人は恋人になり、やがて結婚したのだろう…と推測するのは自然な解釈だと思います。

ですが、そこが「原作のある作品を映画化する」ということの微妙な問題なのです。ある作品が、例えば小説が映画化する場合、設定や物語などが一切変らわず、100%原作に忠実に描かれるとは限らないのです。

ここには様々な事情が絡んでいるのですが(媒体の変化による変更の必要性、上映時間あるいはテレビアニメ化なら放送期間の問題、クリエイターのこだわり、時代に合わせたアレンジなど)、ジブリの魔女の宅急便も、やはり原作から変更している部分はいくつも存在しています。(参考:『魔女の宅急便』 本当は飛行船のクライマックスシーンは存在しないはずだった! 

そして、残念ながらキキとトンボの関係も原作通りではないようです。それは、書籍『ジ・アート・オブ 魔女の宅急便』の125ページに宮崎監督の言葉として載っています。以下、そのページの抜粋です。

2023-04-20

1989年9月号のアニメージュ表紙のキキは「3年後のキキ」ではありません。


先日、とある方からメッセージを頂きました。それによると、アニメージュの1989年9月号の表紙を飾ったキキに関するデマが酷い、とのこと。で、そのデマというのは、アニメージュの表紙に描かれたキキが「『魔女の宅急便』より3年後のキキ」だとしてネットに出回っている、というお話でした。

それではまず、以下に1989年9月号のアニメージュの表紙をご紹介します。(私の所有している1989年9月号は状態が良くないため、某オークションにあった画像をいただきました)こちらを手掛けたのは近藤勝也さんだそうです。


そして「3年後のキキ」でネット検索してみたところ…なるほど、これは確かにひどい状態です。

ですので、今回は即否定します。上記の表紙は3年後のキキを描いたものではありません。答えはまさにこのアニメージュ1989年9月号に載っております。以下、その当該ページです。キキとウルスラの声を担当した高山みなみさんのインタビューの箇所に答えはあります。

2022-04-29

『魔女の宅急便』がちょっと違った視点で見れる豆知識 ~魔女はなぜ箒で空を飛ぶのか?その“大人”な理由~


ジブリ版『魔女の宅急便』に登場する主人公のキキ。


明るく素直で純真な存在と言えます。…が、多くの方は知っての通り、「魔女」と言う存在自体は一般的に「悪いもの」として捉えられている存在です。であるからして、実は『魔女の宅急便』で使用されている要素にも、必然的に「決して良い意味を持っていないもの」あるいは「一般的にいかがわしい、公の場では表明しにくいもの」が使用されています。そして今回ご紹介したいのは、その魔女の非常に“大人”な側面なのです。

以下、書籍『ジブリの教科書5 魔女の宅急便』に収録されている正木晃さんによるコラム「魔女の東西」より、魔女がなぜ箒に乗っているのか?より引用します。

 魔女が空を飛ぶ件に関しては、別の疑問もある。それは、キキをはじめ、ヨーロッパの魔女は、なぜ、箒みたいな棒状の物体にまたがって空を飛んでいたのか、という疑問だ。アジアの魔女は超能力を使って、なにもまたがらず、自分の身体だけで飛んでいたようなので、この点は問題にならない。
 ここで、箒と断定せず、わざわざ「棒状の物体」と、もったいぶって表現しているのには、ちゃんとわけがある。この点は、キキがなににまたがって空を飛んでいたかを思い出せば、納得していただけるはずだ。
 もちろん、普段のキキは箒にまたがって空を飛んでいる。しかし、最後のほうのシーンでは、絶体絶命の危機に陥ったトンボを助けるために、清掃業?のおじさんから借りたデッキブラシにまたがって空を富んだ。つまり、魔女が空を飛ぶのに、箒は必須ではない。棒状の物体なら、なんでも良いのである。

確かに物語の終盤、キキは箒ではなくデッキブラシにまたがり空を飛びます。


魔女が空を飛ぶのには「棒状の物体ならば何でも良い」、一体どういうことでしょうか?もしかしたら、この時点で勘の鋭い方は何となく気づいたかもしれません。以下、こう続きます。

2022-01-20

押井守監督、高橋留美子先生が『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』を気に入ってない事を知っていた&ジブリ版『魔女の宅急便』を原作者の角野栄子さんは嫌っているのか?


今回は、まあそりゃそうだよねといえばそんな感じですが、一応本人からの発言が確認できたのでここに記しておきたかったという話と、「本当にそうなのか?」という話の2つをお届けします。


高橋留美子先生の代表作のひとつである『うる星やつら』、この作品がアニメ化され、さらにそのアニメシリーズを映画化したものが数作ありますが、中でも特に異質を放っているのが2作目の『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』です。


監督はご存知、押井守さん。今作も例にもれず押井らしさ全開の奇妙で幻惑的な作風になっており、非常に評価が高い作品です。私も大傑作だと思います。

しかしこの作品は『うる星やつら』としては異質すぎるため、嫌うファンもいるそうです。またネットでよく言われているエピソードとして、他ならぬ高橋留美子先生がこの作品を見て「これは”押井さん”のうる星やつらです」と、暗に自分のうる星やつらとしては認めたくないという趣旨の発言をされたという話が伝わっています。(どうやらよくある与太話ではないようです)

そしてこの高橋先生の言葉、押井監督にも伝わっていました。以下、(当ブログ的ではもはや教科書扱いしている)書籍『誰も語らなかったジブリを語ろう』より、押井監督が『魔女の宅急便』のことを語っている部分からの抜粋です。

2021-04-09

スタジオジブリは『魔女の宅急便』の後に解散する予定だった


言わずと知れた名作、スタジオジブリ版『魔女の宅急便』ですが、実はこの『魔女の宅急便』の後に、ジブリは解散するという予定がありました。


書籍『ジブリの教科書5 魔女の宅急便』によると、このような経緯だったそうです。

 大ヒットとなった『魔女の宅急便』だが、宮崎はこの映画の完成後、スタジオジブリを解散する心づもりをしていたという。宮崎の持論の一つに「一スタジオで制作できるのは三作品が限度」というものがある。ある程度定まったスタッフでそれ以上制作を続けると、必ず無理がでるという考えだ。一方、鈴木は「せっかくここまで作ったのだから、もう少し続けたい」と考えた。鈴木と宮崎は話し合いを行い、最終的にスタジオジブリを継続することになった。
 そこで宮崎が提案したのが、新人の育成。これまでは一作ごとに解散する方法で制作リスクは低いものの、新人を育てるような体制ではなかった。
 その宮崎の提案を受けて、鈴木はスタッフの給与倍増をさらに提案した。というのも、ヒットした『魔女の宅急便』だったが、完成後スタッフの給料が問題になっていたのだ。

(中略)

 こうして、ジブリ設立当初の「一本ごとに解散」という方針は大きく転換。
 ①スタッフの社員化、および固定給制度の導入。資金倍増を目指す。
 ②新人定期採用とその育成。
 という新たな経営方針の下、スタジオジブリは定期的に作品を制作していくことになる。

2020-12-03

宮崎監督、鳥に「飛び方がまちがってる」とダメ出しする!その気難しさと、そこに隠された深いアニメ論。


スタジオジブリの関係者の方々が口を揃えて言う宮崎駿監督の気難しさ。作品は天才的ですが、どうも同じ仕事をする人としては、付き合うのに相当の根性が必要な人らしいのです。今回は、スタジオジブリのアニメーター・動画チェックとして長年働かれていた舘野仁美さんの著作『エンピツ戦記 - 誰も知らなかったスタジオジブリ』より、宮崎監督の気難しさが分かるエピソードとともに、そこに隠された深いアニメ論をご紹介します。

以下、『エンピツ戦記』より抜粋です。

『魔女の宅急便』(1989年)公開の制作中に。こんなことがありました。
 宮崎作品の醍醐味といえば、なんといっても飛行シーンでしょう。宮崎さんが飛行機に対して格別の思い入れがあることはよく知られていますが、鳥の飛び方へのこだわりも、人一倍強いのでした。
 ほうきに乗って空を飛んでいるヒロイン・キキが雁の群れと出くわすシーン。そのシーンの原画を担当していたのは二木真希子さんですが、ある日、宮崎さんは大声で二木さんを呼びました。
 「どうしてこんなふうに描いたんだ!!前におれが言っただろう」。鳥の飛び方はこうじゃないって!!
 二木さんは反論しようと試みていましたが、厳しい口調でまくし立てる宮崎さんの勢いに気圧されて、黙り込んでしまいました。
 二木さんは実力があって研究心旺盛なアニメーターで、とくに動物や植物の描写には定評のある方です。鳥の生態にも詳しく、傷ついた野鳥を保護して傷が治るまで世話をして、また放野したりするような人です。宮崎さんもそんな二木さんの仕事を高く評価していました。この雁の群れのシーンも、二木さんはきちんと研究した上で、その成果を表現していたのだと思います。

2019-08-07

涼しげな音に癒やされる、グラスハープで『魔女の宅急便』の「海の見える街」を奏でている動画


グラスハープを使って『魔女の宅急便』の「海の見える街」を奏でている動画をご紹介します。




涼しげで不思議な印象の音色ですね。
この動画をアップロードしたのはヤスくん殿下さん。他にもたくさんのグラスハープ演奏動画をあげているので、もし興味のある方は【https://www.nicovideo.jp/mylist/25850674】からご覧になってみてはいかがでしょうか?





【こちらも併せてどうぞ】
原画担当が語る『魔女の宅急便』キキの描きづらさ

ひどいよ駿さん!『魔女の宅急便』に出てきた観光客に対して絵コンテで暴言を吐く!

魔女の宅急便「ジジはヤマト運輸から“宅急便”商標の使用許諾を得るために登場させることになった」というのはデマです。

2018-01-27

原画担当が語る『魔女の宅急便』キキの描きづらさ


ジブリのキャラクターの模写をする人は結構多いと思います。今回は、そんな人たちにとっても役に立つようなお話です。『魔女の宅急便』の主人公、キキ。

彼女の描きづらさを原画担当の井上俊之さんが語っていますので、そちらをご紹介します。以下、書籍『ロマンアルバム 魔女の宅急便』より引用です。

2018-01-17

ひどいよ駿さん!『魔女の宅急便』に出てきた観光客に対して絵コンテで暴言を吐く!


ジブリの絵コンテから分かること。今回は『魔女の宅急便』の何気ないシーンに現れた「ひどい!」という書き込みをご紹介します。

2018-01-06

魔女の宅急便「ジジはヤマト運輸から“宅急便”商標の使用許諾を得るために登場させることになった」というのはデマです。


スタジオジブリの作品は人気であるがゆえに、よく分からない怪情報が流れてしまうもののようです。今回ご紹介するデマは『魔女の宅急便』に登場するジジに関するものです。早速ですが、スタジオジブリさんのLINEから引用した文章をご覧ください。

2017-07-17

結婚、子供たち、そして…原作版『魔女の宅急便』で描かれるキキのその後


ジブリのオリジナル作品だと思われがちな『魔女の宅急便』ですが、原作が存在しています。




原作は6巻まで存在しており、ジブリ版の物語と違い、その後のストーリーが描かれているのです!(その後も番外編、特別編が出版されています)映画版の物語は原作の1巻部分だけ!キキの物語はその後どんな風になっているのでしょうか?かいつまんでご紹介します。

2017-07-07

キキのお父さんは○○の研究をしていた!『魔女の宅急便』の豆知識


今回は、書籍『ロマンアルバム 魔女の宅急便』から分かる『魔女の宅急便』のちょっとした豆知識をご紹介します。まずはキキの両親、コキリさんとオキノさん。

2017-04-08

『魔女の宅急便』に登場するウルスラのモデルはなんとあの女優さんだった!


『魔女の宅急便』に登場する画学生、ウルスラ。

なんと彼女にはモデルが居ました。それも、ちょっと驚きな方と、驚きなつながり方で。今回は、書籍『ジブリの教科書6 おもひでぽろぽろ』に収録されている故・近藤喜文さんへのインタビューより(初出は『ロマンアルバム おもひでぽろぽろ』)ご紹介します。

2017-01-06

2本立ての予定だった『魔女の宅急便』 もうひとつはなんと…!?


『となりのトトロ』は公開時、『火垂るの墓』と2本立てでしたが、ジブリ作品が2本立てで公開されることは滅多にありません。しかし、構想としては『風立ちぬ』と『かぐや姫の物語』も2本立てが考えられていたそうですし、実は『魔女の宅急便』も2本立てとして考えられていたことがあったそうです。

今回は、WEBアニメスタイル(旧サイト)の片渕須直さんのコラム『β運動の岸辺で』第46回「ふたつの映画の狭間で」より、そのエピソードをご紹介します。

2016-12-30

ジブリの『魔女の宅急便』は『この世界の片隅に』の片渕須直が監督をする予定だった!


今、非常に話題となっている映画『この世界の片隅に』。本当に素晴らしい作品です。

この作品の監督は片渕須直さんですが、片渕さんはかつてジブリの『魔女の宅急便』に演出補として参加していた事があります。しかし、最初から演出補として参加していたわけではありませんでした。ある時から演出補になったのです。いつから?なぜ?今回はその経緯を『WEBアニメスタイル』(旧サイト)のコラムよりご紹介します。

2016-12-02

オーストラリアにはジブリのモデル地は(まだ)存在していません


スタジオジブリの作品には、モデルになった場所がいくつか存在します。しかし、モデル地でないにも関わらずモデルであるかのように言われていたり、意図的に嘘をついている場所もありジブリのモデル地問題は非常に面倒な状況になっています。この問題は当ブログでも何度か言及しておりますが(例としてこちらまたはこちらをご参照ください)、嘘やデマであることが問題であり、単に「似ている場所」ならば皆で楽しめば良いことだと個人的には思っております。

さて、ネットではオーストラリアにはいくつかジブリのモデル地が存在していると言われているそうです。本当でしょうか?書籍宮崎駿全書』によると、こうあります。

2016-01-22

『魔女の宅急便』 どうしてキキはジジの言葉が分からなくなったのか?


魔女の宅急便、途中からジジは人間の言葉を喋らなくなり、結局、最後まで言葉を取り戻すことはありませんでした。キキはどうしてジジの言葉を理解できなくなったのか?いやそれとも、ジジが喋れなくなったのか?」このことについては、「恋をしたから」など、様々な解釈があるようです。

この「なぜなのか?」に関しては、書籍『ジブリの教科書5 魔女の宅急便 (文春ジブリ文庫)』のノンフィクションライターの柳澤健さんによる『ユーミンはもう、キキではなかった』によれば、こうあります。

『魔女の宅急便』 キキはなぜ突然飛べなくなったのか?宮崎監督の言葉


ジブリの『魔女の宅急便』の終盤、キキは突如として飛べなくなってしまいます。

そしてそのまま物語はクライマックスまで向かいますが、キキがなぜ突然スランプに陥ったのか?その理由はハッキリと明かされてはいません。この理由については、多くの人が様々な解釈をしています。

では、宮崎駿監督ご本人は、この点に関してなんと言っているのでしょう?書籍『ジブリの教科書5 魔女の宅急便』(文春ジブリ文庫)によると、こうあります。

考えさせられる。『魔女の宅急便』に出てくる「アタシこのパイ嫌いなのよね」の子に対する宮崎監督の言葉


今回は、ジブリ版『魔女の宅急便』でも有名な“あのシーン”に対する宮崎駿監督の考えさせられる言葉をご紹介します。



物語は中盤、突然の雨でずぶ濡れになりながら、優しい老婦人の焼いたパイを彼女の孫に届けに向かうキキ。しかしそこで待っていた孫は…

冷めた態度だった。

「おばあちゃんからまたニシンのパイが届いたの」
「だから要らないって言ったのよ」
「アタシこのパイ嫌いなのよね」

…その冷たい対応と老婦人とのギャップで、この子に怒りを覚えた方もたくさんおられると思います。私もイラッとしました(笑)。しかしこのシーンに対して、宮崎監督は『ジブリの教科書5 魔女の宅急便 』(文春ジブリ文庫)に収録されたインタビューにおいて、このように仰っています。